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正法眼蔵  作者: Eliphas1810
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正法眼蔵 四馬

世尊、一日、外道、来詣、仏所、問、仏、

不問、有言。

不問、無言。


世尊、拠坐。

良、久。

外道、礼拝、讃歎、云、

善哉。

世尊。

大慈大悲、開、我迷雲、令、我、得入。


乃、作、礼、而、去。

外道、去、已、阿難、尋、白、仏、言、

外道、以、何所得、而、言、得入、称讃、而、去?


世尊、言、

如、世間良馬、見、鞭影、而、行。


祖師西来よりのち、いまにいたるまで、諸善知識、おおく、この因縁を挙して参学のともがらに、しめすに、あるいは、年載をかさね、あるいは、日月をかさねて、まさに、開明し、仏法に信入するもの、あり。

これを外道問仏の話と称す。

しるべし。

世尊に聖黙、聖説の二種の施設まします。

これによりて得入するもの、みな、如、世間良馬、見、鞭影、而、行なり。

聖黙、聖説にあらざる施設によりて得入するも、また、かくのごとし。


龍樹祖師、曰、

為、人、説、句、如、快馬、見、鞭影、即、入、正路。


あらゆる機縁、あるいは、生、不生の法をきき、三乗、一乗の法をきく、しばしば邪路におもむかんとすれども、鞭影しきりに、みゆるがごときは、すなわち、正路にいるなり。

もし師にしたがい、人にあいぬるがごときは、ところとして説、句にあらざることなし、ときとして鞭影をみずということなきなり。

即座に鞭影をみるもの、三阿僧祇をへて鞭影をみるもの、無量劫を経て鞭影をみ、正路にいることをうるなり。


雑阿含経、曰、

仏、告、比丘、

有、四種馬。

一、者、見、鞭影、即便、驚、おそれ、随、御者意。

二、者、触、毛、便、驚、おそれ、随、御者意。

三、者、触、肉、然後、乃、驚。

四、者、徹骨、然後、方、覚。

初馬、如、聞、他集落、無常、即、能、生、厭。

次馬、如、聞、己集落、無常、即、能、生、厭。

三馬、如、聞、己親、無常、即、能、生、厭。

四馬、猶、如、己身、病苦、方、能、生、厭。


これ、阿含の四馬なり。

仏法を参学するとき、かならず、学するところなり。

真善知識として人中、天上に出現し、ほとけのつかいとして祖師なるは、かならず、これを参学しきたりて、学者のために伝授するなり。

しらざるは、人、天の善知識にあらず。

学者もし厚、殖、善根の衆生にして、仏道ちかきものは、かならず、これをきくことをうるなり。

仏道、とおきものは、きかず、しらず。

しかあれば、すなわち、

師匠、いそぎ、とかんことをおもうべし。

弟子、いそぎ、きかん、と、こいねがうべし。

いま、生、厭というは、

仏、以、一音、演説、法、

衆生、随、類、各、得、解。

或、有、恐怖。

或、歓喜。

或、生、厭離。

或、断、疑。

なり。


大経、云、

仏、言、

復、次、

善男子、

如、調馬者、凡、有、四種。

一、者、触、毛。

二、者、触、皮。

三、者、触、肉。

四、者、触、骨。

随、其所触、かなう、御者意。

如来、亦、爾。

以、四種法、調伏、衆生。

一、者、為、説、生、便、受、仏語。

如、触、其毛、随、御者意。

二、者、説、生、老、便、受、仏語。

如、触、毛、皮、随、御者意。

三、者、説、生、及、以、老、病、便、受、仏語。

如、触、毛、皮、肉、随、御者意。

四、者、説、生、及、以、老、病、死、便、受、仏語。

如、触、毛、皮、肉、骨、随、御者意。

善男子、

御者、調馬、無有、決定。

如来、世尊、調伏、衆生、必定、不虚。

是故、号、仏、調御丈夫。


これを涅槃経の四馬となづく。

学者、ならわざる、なし。

諸仏、ときたまわざる、おわしまさず。

ほとけに、したがいたてまつりて、これをきき、

ほとけをみたてまつり供養したてまつるごとには、かならず、聴聞し、

仏法を伝授するごとには、衆生のために、これをとくこと、

歴劫に、おこたらず。

ついに、仏果にいたりて、はじめ初発心のときのごとく、菩薩、声聞、人、天、大会のために、これをとく。

このゆえに、仏法僧宝種、不断なり。

かくのごとくなるがゆえに、諸仏の所説と、菩薩の所説と、はるかに、ことなり。

しるべし。

調馬師の法に、おおよそ、四種あり。

いわゆる、

触、毛。

触、皮。

触、肉。

触、骨。

なり。

これ、なにものを触、毛せしむる、と、みえざれども、伝法の大士、おもわくは、鞭なるべし、と解す。

しかあれども、かならずしも、調馬の法に鞭をもちいるも、あり、鞭をもちいざるも、あり。

調馬、かならず、鞭のみには、かぎるべからず。

たてる、たけ八尺なる、これを龍馬とす。

このうま、ととのうること、人間に、すくなし。

また、千里馬という、うま、あり。

一日のうちに千里をゆく。

このうま、五百里をゆくあいだ、血汗をながす。

五百里すぎぬれば、清涼にして、はやし。

このうまにのる人、すくなし。

ととのうる法、しれるもの、すくなし。

このうま、神丹国には、なし。

外国に、あり。

このうま、おのおの、しきりに鞭を加す、と、みえず。

しかあれども、古徳、いわく、調馬、かならず、鞭を加す。

鞭にあらざれば、うま、ととのわらず。

これ、調馬の法なり。

いま、触、毛、皮、肉、骨の四法あり。

毛をのぞきて、皮、骨、触すること、あるべからず。

毛、皮をのぞきて、肉、骨に触すること、あるべからず。

かるがゆえに、しりぬ。

これ、鞭を加すべきなり。

いま、ここに、とかざるは、文の不足なり。

諸経、かくのごときのところ、おおし。

如来、世尊、調御丈夫、また、しかなり。

四種の法をもって、一切衆生を調伏して、必定、不虚なり。

いわゆる、

生を為、説するに、すなわち、仏語をうくる、あり。

生老を為、説するに、仏語をうくる、あり。

生老病を為、説するに、仏語をうくる、あり。

生老病死を為、説するに、仏語をうくる、あり。

のちの三をきくもの、いまだ、はじめの一をはなれず。

世間の調馬の、触、毛をはなれて、触、皮、肉、骨、あらざるがごとし。

生老病死を為、説す、というは、如来、世尊の生老病死を為、説しまします、衆生をして、生老病死をはなれしめんがために、あらず。

生老病死、すなわち、道、と、とかず。

生老病死、すなわち、道なり、と解せしめんがために、とくにあらず。

この生老病死を為、説するによりて、一切衆生をして、阿耨多羅三藐三菩提の法をえしめんがためなり。

これ、如来、世尊、調伏、衆生、必定、不虚。是故、号、仏、調御丈夫。なり。


正法眼蔵 四馬

建長七年乙卯、夏安居日、以、御草案、書写、之、畢。    懐弉

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