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正法眼蔵  作者: Eliphas1810
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正法眼蔵 三時業

第十九祖、鳩摩羅多尊者、至、中天竺国、有、大士、名、闍夜多、問、曰、

我家、父母、素、信、三宝。

而、

嘗、まとう、疾瘵。

凡、所営事、皆、不如意。

而、我隣家、久、為、栴陀羅行。

而、

身、常、勇健。

所作、和合。

彼、何、幸?

而、

我、何、辜?


尊者、曰、

何、足、疑、乎?

且、善悪之報、有、三時、焉。

凡人、但、見、

仁、夭、

暴、寿、

逆、吉、

義、凶、

便、謂、

亡、因果、

虚、罪福。

殊、不知、

影響、相随、毫釐、ないたがえる

縦、経、百、千、万劫、亦、不、磨滅。


時、闍夜多、聞、是語、已、頓、釈、所疑。


鳩摩羅多、尊者は、如来より第十九代の付法なり。

如来、まのあたり名字を記しまします。

ただ釈尊、一仏の法をあきらめ正伝せるのみにあらず、かねて、三世の諸仏の法をも暁了せり。

闍夜多、尊者、いまの問をもうけしよりのち、鳩摩羅多、尊者にしたがいて、如来の正法を修習し、ついに、第二十代の祖師となれり。

これも、また、世尊、はるかに、第二十祖は、闍夜多なるべし、と記しましませり。

しかあれば、すなわち、仏法の批判、もっとも、かくのごとくの祖師の所判のごとく習学すべし。

いまのよに、因果をしらず、業報をあきらめず、三世をしらず、善悪をわきまえざる邪見のともがらに群すべからず。


いわゆる、善悪之報、有、三時、焉というは、

一、者、順現報受。

二、者、順次生受。

三、者、順後次受。

これを三時という。


仏祖の道を修習するには、その最初より、この三時の業報の理をならい、あきらむるなり。

しかあらざれば、おおく、あやまりて邪見に堕するなり。

ただ邪見に堕するのみにあらず、悪道におちて長時の苦をうく。

続善根せざるあいだは、おおくの功徳をうしない、菩提の道、ひさしく、さわり、あり。

おしからざらめや?

この三時の業は、善悪にわたるなり。


第一、順現報受業、者、

謂、

若、業、此生、造作、増長、即、於、此生、受、異熟果。

是、名、順現報受業。


いわく、

人ありて、あるいは、善にもあれ、あるいは、悪にもあれ、この生に、つくりて、すなわち、この生に、その報をうくるを順現報受業という。


悪をつくりて、この生に、悪報をうけたる例。


曾、有、採樵者、入山、遇、雪、迷、失、途路。

時、会、日暮、雪、深、寒、凍、将、死、不久。

即、前、入、一蒙密林中、乃、見、一羆。

先、在、林内。

形色、青紺。

眼、如、双、炬。

其人、惶恐、分、当、失命。

此、実、菩薩、現、受、羆身。

見、其憂、恐、尋、慰、諭、言、

汝、今、勿、怖。

父母、於、子、或、有、異心。

吾、今、於、汝、終、無、悪意。


即、前、捧、取、将、入、窟中。

温煖、其身、令、蘇息、已、

取、諸根、果、勧、随、所食。

恐、冷、不消、抱持、而、臥。

如是、恩、養、経、於、六日。

至、第七日、天、晴、路、現。

人、有、帰心。

羆、既、知、已、復、取、甘果、而、餞、之。

送、至、林外、慇懃、告、別。

人、跪、謝、曰、

何、以、報、恩?


羆、言、

我、今、不、まつ、余報。

但、

如、比日、我、護、汝身、

汝、於、我命、亦、願、如是。


其人、敬、諾。

担、樵、而、下山。

逢、二猟師。

問、言、

山中、見、何蟲獣?


樵人、答、言、

我、亦、不見、余獣、唯、見、一羆。


猟師、求、請、

能、示、我? 不?


樵人、答、言、

若、能、与、三分之二、吾、当、示、汝。


猟師、依、許。

相、与、倶、行。

竟、害、羆命、分、肉、為、三。

樵人、両手、欲、取、羆肉、悪業力、故、双臂、倶、落。

如、珠縷、断。

如、截、藕根。

猟師、危忙、驚、問、所以。

樵人、恥愧、具、述、委曲。

是二猟師、責、樵人、曰、

かれ、既、於、汝、有、此大恩。

汝、今、何、忍、行、斯悪逆?

怪哉、汝身、何、不、糜爛?


於、是、猟師、共、持、其肉、施、僧伽藍。

時、僧上座、得、妙願智、時、入、定、観、是、何肉?

即、知、是、与、一切衆生、作、利楽者、大菩薩肉。

尋、時、出、定、以、此事、白、衆。

衆、聞、驚、歎、共、取、香薪、焚、焼、其肉。

収、其余骨、起、卒堵婆、礼拝、供養。


如是、悪業、要、待、相続、或、度、相続、方、受、其果。


かくのごとくなるを悪業の順現報受業となづく。

おおよそ、恩をえては、報をこころざすべし。

他に恩しては、報をもとむることなかれ。

いまも恩ある人を逆害をくわえんとせん、その悪業、かならず、うくべきなり。

衆生、ながく、いまの樵人のこころ、なかれ。

林外にして告別するには、いかがして、この恩を謝すべき、というといえども、やまのふもとに、猟師にあうては、二分の肉をむさぼる。

貪欲にひかれて大恩所を害す。

在家、出家、ながく、この不知恩のこころ、なかれ。

悪業力のきるところ、両手を断ずること、刀剣のきるよりも、はやし。


この生に善をつくりて、順現報受に善報をえたる例。


昔、健駄羅国、迦膩色迦王、有、一黄門、恒、監、内事。

暫、出、城外、見、有、群牛、数、みちる、五百、来入、城内。


問、駆牛者、

此、是、何牛?


答、言、

此牛、将、去、其種。


於、是、黄門、即、自、思惟、

我、宿悪業、受、不男身。

今、応、以、財、救、此牛難。


遂、償、其債、悉、令、得、脱。

善業力、故、令、此黄門、即、復、男身。

深、生、慶悦。

尋、還、城内、侍立、宮門、付、使、啓、王、請、入、奉覲。

王、令、喚、入。

怪、問、所由。

於、是、黄門、具、奏、上事。

王、聞、驚、喜、厚、賜、珍財、転、授、高官、令、知、外事。


如是、善業、要、待、相続、或、度、相続、方、受、其果。


あきらかに、しりぬ。

牛畜の身、おしむべきにあらざれども、すくうひと、善果をうく。

いわんや、恩田をうやまい、徳田をうやまい、もろもろの善を修せんをや。

かくのごとくなるを善の順現報受業となづく。

善によりて、悪によりて、かくのごとくのこと、おおかれど、つくし、あぐるに、いとまあらず。


第二、順次生受業、者、

謂、

若、業、此生、造作、増長、於、第二生、受、異熟果。

是、名、順次生受業。


いわく、

もし人ありて、この生に五無間業をつくれる、かならず、順次生に地獄におつるなり。

順次生とは、この生の、つぎの生なり。

余のつみは、順次生に地獄におつるも、あり。

また、順後次受の、ひくべき、あれば、順次生に地獄におちず、順後業となることも、あり。

この五無間業は、さだめて、順次生受業に地獄におつるなり。

順次生、また、第二生とも、これをいうなり。


五無間業というは、

一、者、殺、父。

二、者、殺、母。

三、者、殺、阿羅漢。

四、者、出、仏身、血。

五、者、破、法輪、僧。

これを五無間業となづく。

また、五逆罪となづく。


はじめの三は、殺生なり。

第四は、殺生の加行なり。

如来は、いかにも人にころされさせたまわず。

ただ、身、血をいだすを逆とす。


中夭なきは、

最後身、菩薩。

都史多天、一生所繋、菩薩。

北洲。

樹提伽。

仏医。

なり。


第五、破、僧、罪は、虚誑語なり。


この五逆、かならず、順次生受業に、地獄におつるなり。


提婆達多は、この五無間業のなかに、三をつくれり。

いわく、


蓮華色比丘尼をうちころす。

この比丘尼、大阿羅漢なり。

これを殺、阿羅漢とす。


盤石をなげて、世尊をうちころしたてまつらんとす。

盤石、ときに、山神にさえられて、くだけぬ。

その、くだけ、ほとばしりて、如来の足指にあたれり。

足指やぶれ、血、まさに、いづ。

これ、出、仏身、血、罪なり。


初学、愚鈍の比丘、五百人を、かたらいて、迦耶山頂にゆきて、別、羯磨をつくる。

これ破、僧、罪なり。


この三逆罪によりて、阿鼻地獄におちぬ。


いまに、無間の苦をうく。


四仏の提婆達多、なお、阿鼻にあり。


倶伽離比丘、この生に、舎利弗、目犍連を謗ずるに、無根、波羅夷の法をもってす。

世尊、みずから、いさめまします。

梵王、きたりて、制すれども、やまず。

二尊者を謗じて、地獄におちぬ。


四禅比丘、臨、命、終のときに、謗、仏せしによりて、阿鼻地獄におつ。


かくのごとくなるを順次生受業となづく。


第三、順後次受業、者、

若、業、此生、造作、増長、随、第三生、或、復、過、此、雖、百、千劫、受、異熟果。

是、名、順後次受業。


いわく、

人ありて、この生に、あるいは、善にもあれ、あるいは、悪にもあれ、造作しおわれりといえども、あるいは、第三生、あるいは、第四生、乃至、百、千生のあいだにも、善悪の業を感ずるを順後次受業となづく。

菩薩の三祇劫の功徳、おおく、順後次受業なり。

かくのごとくの道理、しらざるがごときは、行者、おおく、疑心をいだく。

いまの、闍夜多、尊者の在家のときのごとし。

もし鳩摩羅多、尊者にあわずば、その、うたがい、とけ、がたからん。

行者もし思惟、それ、善なれば、悪、すなわち、滅す。

それ、悪、思惟すれば、善、すみやかに滅するなり。


室羅筏国、昔、有、二人。


一、恒、修、善。


一、常、作、悪。


修善行者、於、一身中、恒、修、善行。

未嘗、作、悪。


作悪行者、於、一身中、常、作、悪行。

未嘗、修、善。


修善行者、臨、命、終、時、順後次受、悪業力、故、たちまち、有、地獄、中有、現前。

便、作、是念、

我、一身中、恒、修、善行。

未嘗、作、悪。

応、生、天趣。

何縁、有、此中有、現前?


遂、起、念、言、

我、定、応、有、順後次受、悪業。

今、熟、故、此地獄中有、現前。


自、憶念、一身、已来、所修、善業。

深、生、歓喜。

由、勝善思、現在前、故、地獄中有、便、隠歿、天趣中有、たちまち爾、現前。

従、此命、終、生、於、天上。


この恒、修、善行のひと、順後次受の、さだめて、うくべき、わが身にありけり、とおもうのみにあらず、さらに、すすみて、おもわく、一身の修、善も、また、さだめて、のちに、うくべし。

ふかく歓喜す、とは、これなり。

この憶念、まことなるがゆえに、地獄の中有、すなわち、かくれて、天趣の中有、たちまちに現前して、いのち、おわりて、天上にうまる。

この人もし悪人ならば、命、終のとき、地獄の中有、現前せば、おもうべし、

われ、一身の修、善、その功徳なし。

善悪あらんには、いかでか、われ、地獄の中有をみん?


このとき、因果を撥無し、三宝を毀謗せん。

もし、かくのごとくならば、すなわち、命、終し、地獄におつべし。

かくのごとくならざるによりて、天上にうまるるなり。

この道理、あきらめ、しるべし。


作悪行者、臨、命、終、時、順後次受、善業力、故、たちまち、有、天趣中有、現前。

便、作、是念、

我、一身中、常、作、悪行。

未嘗、修、善。

応、生、地獄。

何縁、有、此中有、現前?


遂、起、邪見、撥無、善悪、及、異熟果。

邪見力、故、天趣中有、尋、即、隠歿。

地獄中有、たちまち爾、現前。

従、此命、終、生、於、地獄。


この人、いけるほど、つねに悪をつくり、さらに一善を修せざるのみにあらず、命、終のとき、天趣の中有の現前せるをみて、順後次受をしらず、

われ、一生のあいだ、悪をつくれりといえども、天趣にうまれんとす。

はかりしりぬ。

さらに善悪なかりけり。

かくのごとく、善悪を撥無する邪見力のゆえに、天趣の中有、たちまちに隠歿して、地獄の中有、すみやかに現前し、いのち、おわりて、地獄におつ。

これは、邪見のゆえに、天趣の中有、かくるるなり。


しかあれば、すなわち、行者、かならず、邪見なることなかれ。

いかなるか、邪見? いかなるか、正見? と、かたちをつくすまで学習すべし。

まず、因果を撥無し、仏法僧を毀謗し、三世、および、解脱を撥無する、ともに、これ、邪見なり。

まさに、しるべし。

今生の、わがみ、ふたつ、なし。みっつ、なし。

いたずらに邪見におちて、むなしく悪業を感得せん。

おしからざらめや?

悪をつくりながら、悪にあらずとおもい、悪の報あるべからずと邪思惟するによりて、悪の報を感得せざるにはあらず。


皓月、供奉、問、長沙景岑、和尚、


古徳、云、

了、即、業障、本来、空。

未了、応、須、償、宿債。


只、如、獅子尊者、二祖大師、為、什麼、得、償、債、去?


長沙、云、

大徳、不識、本来、空。


彼、云、

如何、是、本来、空?


長沙、云、

業障、是。


又、問、

如何、是、業障?


長沙、云、

本来、空、是。


彼、無語。


長沙、便、示、一偈、云、

仮有、元、非、有。

仮滅、亦、非、無。

涅槃、償債、義、一性、更、無、ことなる


長沙の答は、答にあらず。

鳩摩羅多の、闍夜多にしめす道理、なし。

しるべし。

業障のむねをしらざるなり。

仏祖の児孫、修、証、弁道するには、まず、かならず、この三時の業をあきらめ、しらんこと、鳩摩羅多、尊者のごとくなるべし。

すでに、これ、祖宗の業なり。

廃怠すべからず。

このほか、不定業、あり。

また、八種の業、あること、ひろく参学すべし。

いまだ、この業報の道理、あきらめざらんともがら、みだりに人、天の導師と称することなかれ。

かの三時の悪業報、かならず、感ずべしといえども、懺悔するがごときは、重を転じて軽、受せしむ。

また、滅、罪、清浄ならしむるなり。

善業、また、随喜すれば、いよいよ増長するなり。

これ、みな、作業の黒白にまかせたり。


世尊、言、

仮令、経、百劫、所作、業、不亡。

因縁、会遇時、果報、還、自受。

汝等、当、知。

若、純黒業、得、純黒異熟。

若、純白業、得、純白異熟。

若、黒白業、得、雑異熟。

是故、応、離、純黒、及、黒白雑業、当、勤、修学、純白之業。


時、諸大衆、聞、仏説、已、歓喜、信受。


正法眼蔵 三時業

建長五年癸丑、三月九日、在、於、永平寺、首座寮、書写、之、畢。    懐弉

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