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正法眼蔵  作者: Eliphas1810
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正法眼蔵 転法輪

先師、天童古仏、上、堂、挙、


世尊、道、

一人、発、真、帰、源、十方虚空、悉皆、消殞。


師、拈、云、

既、是、世尊、所説。

未免、尽作、奇特商量。


天童、則、不然。

一人、発、真、帰、源、乞児、打破、飯椀。



五祖山、法演和尚、道、

一人、発、真、帰、源、十方虚空、築著磕著。



仏性法泰和尚、道、

一人、発、真、帰、源、十方虚空、只、是、十方虚空。



夾山、圜悟禅師、克勤和尚、道、

一人、発、真、帰、源、十方虚空、錦上、添、華。



大仏、道、

一人、発、真、帰、源、十方虚空、発、真、帰、源。



いま、挙するところの一人、発、真、帰、源、十方虚空、悉皆、消殞は、首楞厳経のなかの道なり。

この句、かつて数位の仏祖、おなじく、挙しきたれり。

いまより、この句、まことに、仏祖、骨髄なり、仏祖、眼睛なり。

しか、いうこころは、首楞厳経、一部、十軸、あるいは、これを偽経という、あるいは、偽経にあらずという。

両説、すでに、往往より、いまにいたれり。

旧訳あり、新訳ありといえども、疑著するところ、神龍年中の訳をうたがうなり。

しかあれども、いま、すでに五祖演和尚、仏性泰和尚、先師、天童古仏、ともに、この句を挙しきたれり。

ゆえに、この句、すでに仏祖の法輪に転ぜられたり、仏祖、法輪、転なり。

このゆえに、この句、すでに仏祖を転じ、この句、すでに仏祖をとく。

仏祖に転ぜられ、仏祖を転ずるがゆえに、たとえ偽経なりとも、仏祖もし転挙しきたらば、真箇の仏経祖経なり、親曾の仏祖、法輪なり。

たとえ瓦礫なりとも、たとえ黄葉なりとも、たとえ優曇華なりとも、たとえ金襴衣なりとも、仏祖、すでに拈来すれば、仏法輪なり、仏正法眼蔵なり。

しるべし。

衆生もし超出、成、正覚すれば、仏祖なり、仏祖の師資なり、仏祖の皮肉骨髄なり。

さらに、従来の兄弟衆生を兄弟とせず。

仏祖、これ、兄弟なるがごとく、十軸の文句、たとえ偽なりとも、而今の句は、超出の句なり、仏句祖句なり、余文余句に群すべからず。

たとえ、この句は超越の句なりとも、一部の文句、性、相を仏言祖語に擬すべからず、参学眼睛とすべからず。

而今の句を諸句に比論すべからざる道理、おおかる。

そのなかに、一端を挙拈すべし。

いわゆる、転法輪は、仏祖儀なり。

仏祖、いまだ不転、法輪あらず。

その転法輪の様子、

あるいは、声、色を挙拈して声、色を打失す。

あるいは、声、色を跳脱して転法輪す。

あるいは、眼睛を抉出して転法輪す。

あるいは、拳頭を挙起して転法輪す。

あるいは、鼻孔をとり、あるいは、虚空をとるところに、法輪、自転なり。

而今の句をとる、いまし、これ、明星をとり、鼻孔をとり、桃華をとり、虚空をとる、すなわちなり。

仏祖をとり、法輪をとる、すなわちなり。

この宗旨、あきらかに転法輪なり。

転法輪というは、功夫、参学して一生、不離、叢林なり、長連牀上に請益、弁道するをいう。


正法眼蔵 転法輪

于、時、寛元二年甲辰、二月二十七日、在、越宇、吉峰精舎、示、衆。

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