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君のままに美しく  作者: そら
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第2章 第32話 最後の文化祭②

昼休みに書き終える事ができず、こそこそとトイレにこもる事、数回。

今までサボっていたのにどうしたんだろう?

まだ仕事中なのに更新です。



 我が保護者ズはそもそも文化祭に来れるつもりでいるんだから図々しいよね。


 入場チケットは生徒に基本4枚学園から渡されプラス理由をつけての保護者申請のみ若干可能、ってなっている。


この若干っていうのが怪しいでしょ?


欲しけりゃ、ここでもパワーゲームはじまり、はじまり。


 もちろんうちら黒ユリは仲良しだもの。


「あの家は今回大きな取引き抱えてるらしいよ」なんてお茶飲みながら話したりして、何げにその家の子が申請だしたら、それなりの数を取る手助けをしたりする。


 反対に過去の文化祭でひんしゅくをかった招待客をだしたとこなんて、どう泣きつこうが、断固阻止する。


そんな感じ。


 ここんところ我が学園の人気は入学希望者数を見てもすごいわけで文化祭ごときのこのチケットがこの時期プラチナチケットになっている。


 つまらないステータスだ。


 今までは入学希望者の学園訪問の際に、文化祭の入場チケットを渡したりもしていたんだけど、それも数が多くなりその制度は今年度から廃止した。


 入学希望者用の学園訪問だって、もちろんある程度の足切りをそれぞれの学区の中学校を指定する事で行っているんだけど、それでも週末の案内担当の先生方や事務の方々は悲鳴をあげている状態だと聞いている。


 誰とは名は明かさないが私の顔をチラっと見て「人間って夢描く幻想をとことん信じてしまうものですからね」やら「人って怖いものにはなぜか惹きつけられるって聞きますものね」とか言っていた人間が身近にいたが、私は断じて怒ってない、怒っていないけど例の封印されていた剥製を黒ユリ館の一階入口にデン!と飾ってやった、あるだけ。


 その後、飾るために呼びつけたガンちゃんとこの手伝い用員二人とすたこらさっさと急いで帰った私は悪くないと思う。


 だってこれバレたら委員長怒るから。


 いつもの「暗黒沈黙目で語る」バージョンも怖いけど、絶対これ静かに話しかけてくるくせに超怖い「静かに語り合いましょう、ただし透子様正座でお口はチャック」バージョンくるよ、絶対。


 本当に怖いんだよ、鬼だよ、マジで委員長。


 でも、逃げなきゃいけない事をするのを理解しても、それでも報復は忘れないのが私。


 このあとガンちゃんに褒められた・・‥絶対納得いかない。


 ガンちゃんに褒められるってダメな子決定じゃん、ご褒美は嬉しく頂いたけど。




 


 レイちゃんはなにげに1年生のクラスでやるらしい「幼児期における両親の役割と絵本・玩具の与え方」というプログラムの所にマーカーを入れていた。


 テーブルの片隅に初め置いてあったそれが、ホームシアターの部屋に、トレーニングルームの片隅に、バスルームにと転々と移動している。


 見たくなくても大きな学園祭のプログラムだよ、そんでもってそこだけ開かれたままの状態に変わり、最後は破かれてそこだけペラペラで置いてあるって・・・。


 誰の手から誰の手に移っていったのかわかりやすいっちゃわかりやすいんだけどね。


 え?皆さんその展示や当日のゲストにそのクラスがよんだ有名幼児教育なんちゃらさんのトーク聞く気満々ですか?そうですか?



 クラス一つでそういうゲストよぶのはそりゃあるよ、うちの学園だもの。


 確かに有名どころざくざくいるよ、くるよ、うちの文化祭。


 皆自分のクラスに関係する発表にもし関係する有名人いりゃ独自に予算組んでよんじゃうから。


 いや、そこを言いたいんじゃなくてね、うちの保護者ズはあれなのかな?この私の反対を押し切ってやってくるにも関わらず、何?「幼児期における・・・」とかいうなんちゃらこうちゃらを見に行く気なんですね、そうですね。


 それも皆示し合わせたわけでなく、目についたプログラムをなにげに手に取り、それぞれもまた関心を持ったと・・・。


 恨むよ、レイちゃん。


 生徒である私よりも一足先にプログラムを手に入れ、なおかつ無防備にそれをさらしていた罪、どうしてくれようか!


 いや、それよりうちの保護者ズが学園祭にくる、ってことは私は案内役を逃げられないと思う、無理だ、絶対。

 

 ガンちゃん達夜組だけなら結構ちょろいとこあるから逃げられる可能性があるんだ。


 意外でしょ?仕事的にあれ!な人たちのが、案外フェミニストで甘いとこあるし私に対しては強く出ないで、しょうがないなぁって感じでその手のひらで遊ばせてくれるの。


 いっぱいいっぱい悪い事してるから、彼らの許容範囲って広いの、だって自分らで勝手に人間的なとことか社会的な許容範囲勝手に広げちゃってるからね、神様?法律?なにそれ?だもの。


 その点昼組の方が抜け目ない、本当に憎らしいくらい冷静。


 かっちり私の動ける範囲決めてその中で私に気づかれないように檻を囲ってる。


 とても広い檻だけど、そこから一歩たりとも私を出さない、離さない。


 海の王様の時、夜の世界のどこまでも深いそれを知ったせいかもしれないし、アホロンの事で知った規格外の闇を知ったせいかもしれないけど、案外私の手は自分たちから簡単にはずされちゃうと思ってる。


 だからあれからの昼組の覚悟というか力への欲求すごいんだ。


 ほんと大丈夫なのに。


 昼組にかかれば私の逃走なんて無理、無理。


 だけども、我が保護者ズを初めて学園に

御披露目するのと、我が保護者ズと珍妙なクラス展示にいくのとは、全然私的にハードルの高さが違うと思うの。 


 こうなったら黒ユリ様の強権発動で、急きょ展示内容変えさせちゃおうかしら?


 あぁ、ダメだ。


 あの「剥製飾っちゃった事件」のほとぼりも冷めず、っていうか、委員長にあわないよう逃げまくっているこの数日を思い浮かべ、ぶるぶると悪寒に震えた。


 これ以上続けてやったら、さすがにまずい。


 何であの時あの剥製の封印を解いてしまったんだろう私。


 「反省はしても後悔はしない」自分で帰りの車で叫んだ自分を思いだす・・・・・愚か。


 刻一刻と近づく文化祭に遠い目をする透子だった。

 

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