表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校デビューした俺。学校一の美少女を狙うはずが、クラスでは犬猿なのに家では甘々な義妹が邪魔してきて気持ちが揺れてます  作者: 久遠遼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/40

26姉妹みたいな二人と、胸のざわめき

俺、美羽、柳瀬さん、弘毅の四人は食堂で昼食をとっていた。

 俺と美羽は、美羽が作ってくれた弁当。柳瀬さんと弘毅は学食を頼んでいた。


「二人は同じお弁当なんだね……」


 柳瀬さんが、俺と美羽の弁当を見て呟く。


「そういえば、智也は去年の秋ぐらいから弁当だったね。

 それまでは俺と一緒の学食だったのに」


「その頃くらいから、美羽が毎日弁当を作ってくれるようになったからな」


 俺がそう言うと、美羽は頬を少しだけ赤らめて、顔をそらす。


「別に、若松くんのためにわざわざ作ってるんじゃなくて、ついでだよ、ついで」


 それを見て柳瀬さんがため息をついた。


「はぁーこんなヒントがありながら今ままで全く気づかないなんて……」


「仕方ないよ。こうやって智也と小野寺さんが揃って弁当を出さないかぎり、同じだなんてわかりようがないからね」


「う、ごめんね。怜奈にまで黙ってて……」


「それはもうわかったから、いいよ。

 それで、二人はこれからも兄妹だってのは黙っておくの?」


 柳瀬さんの問いかけに、俺は少しだけ考える。

 正直、一番知られたくなかった柳瀬さんに知られてしまった今、俺自身としてはそこまで隠したいという気持ちはない。


 だけど、美羽のことを考えると、また違ってくる。

 俺たちはようやく本当の家族として前に進みだした気がする。

 美羽も自分なりに距離を近づけようと努力している大事な時だ。

 そんな中で、周りに変に騒がれたくない。俺たち家族をそっとしておいてほしいと思った。


「もうしばらく秘密にしておきたいかな。変に騒がれるのも面倒だしな」


「わかったわ、美羽もそうしたいみたいだし。部外者の私たちが、それになにか言うこともないわ」


「そうだね。俺も智也が秘密にしておきたいなら、そうするよ。

 最初から周りに言いふらすつもりもなかったしね」


「二人ともありがとう、まあバレたときはその時だ。

 別に後ろめたいことがあるわけでもないからな」


 話がまとまったところで、弘毅が話題を変えてきた。


「そういえば、昨日最初の委員会だったよね? どうだったんだい?」


「初日だったからな、ほとんど説明だけだったよ」


「そうだね。今のところはっきり決まっているのは、例年通りゴールデンウィーク明け、五月中旬の週末に開催するってことくらいかな?」


 俺と柳瀬さんがそれぞれ答えるが、正直なところ大したことは分かっていない。

 昨日は本当に今後のスケジュールと、各クラスで何をやるかを考えてほしいという説明だけだった。


「なんか文化祭と違って、学校内の生徒だけだったけど、すごく楽しかったよね」


「軽音部のライブや、部活動体験みたいなのもあったよね」


「そうそう、あと数はそんなに多くなかったけど屋台もあったよね! 焼き鳥に焼きそばに、ワッフルも!」


「食べ物のことばっかり、美羽は食いしん坊だよね」


「えー、だって祭りの楽しみと言えばそれだよ!」


 柳瀬さんと美羽が楽しそうに話している。

こうやって見ると、本当に仲が良い。まるで――


「姉妹みたいだね」


 弘毅が俺と同じことを思ったのか、ぽつりとつぶやいた。


 二人は同時にこちらを向いてキョトンとしたあと、お互いに見つめ合って笑い合う。


「美羽とは小学校のころからの付き合いだからね」


「ずっと一緒にいる大親友だよ!」


「そんなに付き合い長いんだ。柳瀬さんがお姉さんで、美羽が妹かな?」


 俺がそう言うと、美羽は口を尖らせて抗議する。


「ちょっと、なんで私が妹なの?」


 弘毅が妙に納得した顔でうなずく。


「確かに、小野寺さんは妹って感じのキャラだね」


「成宮くんまで!」


 美羽はぷくっと頬を膨らませる。

柳瀬さんはそんな美羽の頭をなでながら、優しく語りかけた。


「私の方が誕生日早いからね~。よしよし、“お姉ちゃん”って言ってみて」


「もう、なんか納得いかない!」


 その必死なしぐさが可愛くて、つい見とれてしまう。

……見とれる? 可愛くて笑うなら分かるけど、見とれるなんて――。


 ふと生じた自分の感情に首を傾げていると、柳瀬さんの視線を感じた。


「若松くんって、誕生日いつ?」


「は、えーと6月1日だよ」


「それなら、私より少しだけ早いね。美羽が私の妹なら――若松くんは、お兄ちゃんかな?」


 ニコッと微笑んで告げられたその一言は、

 いつも聞き慣れている言葉のはずなのに、彼女が言うとまったく違う言葉に聞こえて、思わず顔が熱くなってしまった。


 ※※※


「それにしても美羽は、学校だと若松くんに対して態度が全然違うんだね」


「ど、どういう意味かな?」

 

 昼食をすませた後、若松くんたちと別れて教室へ戻っている時、美羽に聞いてみた。


「だって、昨日電話越しだと。お兄ちゃんって、すごく明るい声で言ってるのに学校だとそんな感じじゃない?

 二人が兄妹ってのを知ってる私たちの前でも、若松くん呼びだし」


「だって……」


 美羽は顔を伏せて、もじもじしながら一瞬だけ私を見てきた。


「恥ずかしいんだもん……」


 しおらしく健気なその様子に、思わずキュンとなる。


「やだ……美羽かわいい」


 私は我慢できずに美羽に抱きつき頭を撫でる。


「むーやめて~はなして」


 こんなにもかわいい子と屋根の下で一緒に暮らしていたら、若松くんが美羽のことを好きになってもおかしくないなと思い、胸が痛む。


 環が言っていた。

 美羽が義理のお兄さん……若松くんのことを好きというのは本当だろうか?

 彼への恋心に芽生えてしまった今、それがとても気になる。


「怜奈?」


 頭を撫でる手を止めて、考え事をしていた私を不思議そうに美羽が、ハテナマークを浮かべて見つめてくる。


「う、ううん、何でもない」


「変な怜奈。早く戻ろ! 授業はじまるよ!」


 美羽が私の前へ出る。

 近いうちに美羽の気持ちをきちんと確認しないと……

 だけど、もし本当に美羽も若松くんのことが好きだったら、私はどうするんだろう?


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ