恋の話
「...ゆかちゃん!きいてる?」
「え、ごめん、なんだった?」
委員の仕事を終えて部屋に戻ってくると女子会が始まっていた。そこに私も入れてもらっていたんだけど...
先程の一条くんの真剣な表情が頭から離れない
突然真剣な表情をするんだもの...告白の返事をした時も諦めないって言ってくれたけれど、あれから時間が経ってもまだ好きでいてくれることに何だか申し訳なさを感じてしまう
こんなこと私が思うのは失礼だと思うが、一条くんには友達として素敵な人と幸せになって欲しい
「さっきからぼーっとしてるみたいだけど何かあった?大丈夫?」
「全然大丈夫!」
琴葉ちゃんに心配をかけちゃった...
今はせっかく女子会に混ぜてもらったんだし楽しもう!
「それでね!今みんなで恋バナしてるんだ!ゆかちゃんは最近どう?」
「え、わたし?」
「そうそう!最近あんまり聞けてなかったし、恋の進捗はどんな感じかな?」
うーん、恋の進捗か〜
恋をしたいと意気込んではや数ヶ月
あの頃に比べたら色んな男の子と話せるようになったとは思うけど...
恋って考えるとなんだか難しいな
そもそも恋ってどんな感じなんだろう...今まで恋なんてしたことなかったから全く分からない
誰かを好きって思う気持ちは私にもある。可愛い弟達に親友の琴葉ちゃん、昔から頼りになる奏ちゃんそれに最近仲良くしてくれる聖くんや一条くん。
みんなに好きだという気持ちがある。
でもそれぞれ好きの形は違っているのは感じる。
弟達や奏ちゃんは家族としての好き、他のみんなは友達としての好きかな?
「うーん、わたしはまだ恋はできてないかな〜」
琴葉ちゃんからの質問に私はそう答えた。
「そっかあ...じゃあゆかちゃんはまだまだこれからだね!」
「成瀬さんならきっと素敵な人が見つかるよ!」
「うんうん、成瀬さんほんとにかわいいから!」
などと琴葉ちゃんの言葉に続いて同じ部屋の子達も言ってくれた。
「他の子達はどうなの?みんなの話聞きたい!」
その後も琴葉ちゃんが率先して会話を繋げてくれた。
そのおかげもあってみんなの恋バナを沢山聞けた。
片思いの子、最近両思いになれた子、失恋しちゃった子いろんな子がいたけれど、恋の話をしてる時のみんなの表情はとてもかわいかった
好きな人を思う表情ってあんなに可愛くなれちゃうんだなあ
そんなことを考えていると「私も話を聞いてもらっていい?」と花崎さんが声をあげた。
「「もちろん!」」
私たちは声を揃えてそう返事をした。
「みんなありがとう」
花崎さんは何かを懐かしむように微笑んで話し始めた。
「私ね、入学式の時に一目惚れしたの。その人を見た瞬間わたしこんなにも綺麗な人がいるんだって驚いちゃって...」
それから花崎さんはその人との思い出をたくさん話してくれた。話を聞いていてわかったのはその人は同じクラスの人だということだ。
そしてその人の話をしている花崎さんはすごく幸せそうだった。
「わ〜素敵!」
という琴葉ちゃんの言葉に私も深く頷く。
花崎さんは少し顔を赤らめて枕に顔を隠していた。
(あ、かわいい...)
そんなことを思って見ていると花崎さんと目が合った。
その瞬間花崎さんの表情が暗くなったのがわかった。
うーん、やっぱり私なにかしちゃったのかな..
「私ね、この修学旅行で告白しようと思ってるんだ。正直この恋がね叶わないってわかってるの。その人好きな人がいるみたいで...」
「そっか...」
「でも好きって気持ちを伝えたいって思ったの。少しでもあの人の目に私が写って欲しいって」
その花崎さんの言葉を聞いたときなぜか胸がちくっとした。




