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電話



予定変更を伝えた後、お礼を言って私達は各自の部屋へと別れた。

ついてきてくれた奏ちゃんには本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。


(あ、部屋に戻る前にあの約束を果たさなきゃな...)


もうすでに定期的に連絡してっていう約束は破ってしまってるんだけど...怒ってるかなぁ


私は携帯を手にして、家に電話をかける。

約束というのは寝る前に電話するという双葉からの手紙に書かれていた約束だ。


プル...ガチャ


「え、はや。もしもし...?」


電話の前で待ち構えていたんじゃないかと思うスピードでその電話は繋がった。


「もう!姉ちゃんのばか!!」


電話越しに聞こえてきた第一声はその言葉だった。


「なんで全然連絡してくれないの!めちゃめちゃ心配してたんだけど!!!」


(やっぱ怒ってたかぁ...)


驚くスピードで電話に出たのは優だった。

ほんとに心配してくれていたみたいで返信しなかったことを申し訳なく思う。


「優、ごめんね...実は今日全然携帯見てなくて気づいたのが遅かったの」


(奏ちゃんと話してて気づいた時になにか送っておけばよかった...)


「もう!気づいた時に一言でも連絡してよね!姉ちゃんのことだから、どうせ後で電話するから返信はいいかなんて思ったんでしょ?よくないから!」


(わー、ばれてる)


「ほんとにそれはごめん」


「まぁちゃんと電話くれたからもういいけど...それにこの時間は俺の独り占めだし!みんな心配してたから連絡してあげてよ?」


「うん!ちゃんと連絡する!って独り占め...?」


てっきりみんなと話すものだと思っていたから優の言葉が少し引っかかる。


「みんな姉ちゃんと話したいから電話の取り合いになるだろ?だから1人ずつ話そうってなったんだ。その方が姉ちゃんと話せる時間も長くなるし!それでお願いなんだけど、朝にも電話かけてきて!そしたらぴったりだから」


ぴったりっていうのは、あと3人いて、明日の朝と夜、最終日の朝でぴったりってことだな。


「なるほどね〜いいよ!私もみんなとゆっくり話したいし」


ほかの弟たちの声を聞けないのはなんだか寂しい気もするけど、みんなと話してたらきっと寝れる時間もいつになるか分からないからその面でも気を使ってくれたんだろうな。


「よかった!やっぱり姉ちゃんと話すのが1番楽しい。今日1日姉ちゃんに会えなくて寂しすぎたのに次会えるの明後日とか辛すぎるよ...早く帰ってきて!」


「早く帰ってきてはさすがに無理だけど、私も今優と話せて嬉しいよ!」


今日は緊張することが多かったからこうして弟と話す時間はとても落ち着く。

いつも以上に甘えてくれる優は本当に可愛いと思うし、私も早く会いたくなってくる。


「姉ちゃん今日はどうだった?」


寂しいと連呼していた優は少し落ち着いて今日のことを聞いてきた。


「すごく楽しかったよ!クラスの人とも沢山話せたし!」


「へーもしかして男とも話したの?」


いつもより何倍も低い声で優はそう聞いてきた。

これで本当のことを言ったらきっと機嫌を損ねてしまう。


(話したけれど...これは誤魔化した方がいいよね)


「やむをえないとき以外は話してないから大丈夫だよ」


(これで大丈夫かな?実際やむをえなかったし!聖くんとかとは話したけど...友達だし!)


「ふーん、まぁいいや!とりあえずこれからも気をつけてよね!男は怖いんだからね!」


クラスにそんなに悪い人はいないと思うけど、優の機嫌を損ねることはなかったことに安心する。


「優は今日どうだったの?」


「俺?今日は姉ちゃんいなくてくっそつまらなかったけど、今姉ちゃん独り占めしてるから最高な気分だよ!」


相変わらずの姉ラブ宣言に苦笑いがこぼれるけど、そう言ってくれるのはやっぱり嬉しいものだ。

結局のところ私も大概ブラコンなんだよね。


それから私たちは他愛もない話をたくさんした。家族の時間はすごく安心するし優と話せて楽しかった。


「そろそろ戻らなきゃ!」


時間を見るともう結構時間が経っていることに気づく。そろそろ就寝の時間も近づいていた。


「うぅ寂しい。姉ちゃん明日からはちゃんと連絡してよね」


電話越しでも寂しいのが伝わるぐらい優は子犬のような声をしていた。


(まったくかわいいんだから...)


「ちゃんとする!話せて楽しかったよ」


「姉ちゃん大好きだよ。おやすみ」


そう言って1日目の電話を終えた。

おやすみを聞くのは今日で二回目だ。

あの時とはやっぱりなんだか違う感じがした。


「うーん、やっぱり不思議...」



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