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約束



「はぁ...」


今日は修学旅行。天気は雲ひとつない快晴だ。

でも私は手に持った手紙を見ながらため息をもらす。


あれは今日の朝の出来事だ。


「おはよう」


眠たい目をこすりながらリビングに向かうとみんなが揃って出迎えてくれた。

みんな眠そうにしているところを見ると、私の見送りをするためにわざわざ起きてくれたみたい。


「みんな隈が出来てるけど大丈夫?」


みんな目の下がうっすら暗くなっている。


「実は昨日あの後お姉ちゃんの話で盛り上がりすぎてあまり眠れてないんだ。でも絶対お見送りをしたかったから」


そう双葉が答えてくれた。

盛り上がりすぎちゃったって一体なんの話をしてたんだろう?自分のいない所で話をされるのはなんだか不思議な感じがする。

それでも今はいつも起きている時間より早いはずなのに弟たち全員が起きてくれているがすごく嬉しい。


そしていよいよ家を出る時、玄関まで来てくれた弟たちをひとりひとりじっくり見る。


(やっぱりたった3日でも寂しく感じるや)


「楽しんできてね」


そうみんな口を揃えて見送ってくれた。

最後に4人同時に抱きついてきたのはさすがに驚いたけど、すごく心が温かくなった。


「じゃあいってきます!」


そして家を出る直前に渡されたのがこの手紙だ。

昨日の会議を思い出すとなんだか嫌な予感しかしない。

双葉はこれを読むのは飛行機の中で1人で読んでねと言っていたからまだ読んでいないのだけれど...。

やっぱり中身が気になる。


「はぁ...」


「ゆかちゃん?修学旅行の朝だって言うのに浮かない顔だね?」


「ほんとだ、ゆかちゃんどうしたの?」


ついつい近くにいた琴葉ちゃんと一条くんに心配をかけさせてしまった。


(いけない!こんなにうじうじしてちゃだめだよね!せっかくの旅行なんだし)


とゆかは気合いを入れ直す。


「ううん、なんでもないの!」


そう言って誤魔化した。


「あ、ゆかちゃん幼馴染くんの挨拶が始まるみたいだよ」


一条くんのその言葉で私は前方に注目する。

さすが奏ちゃん、あんな堂々と前に出ちゃって。

どうやらイベント委員長として挨拶があるみたいだ。


「えー皆さんいよいよ修学旅行ですね。待ちに待ったっという方も多いと思いますが羽目を外しすぎず楽しみましょう。イベント委員もたくさん準備をしてきたので困ったことがあったらクラスの委員にぜひ頼ってください。それでは楽しい旅行にしましょう」


そう端的に挨拶をしていた。

確かにここ1ヶ月ぐらいは修学旅行の準備で忙しかったもんね。

でもそのおかげで奏ちゃんと話せる機会がたくさんあって嬉しかったなぁ。


そんなことを思っているとあっという間に飛行機に乗る時間になっていた。

隣の席の琴葉ちゃんは昨日眠れなかったらしく、出発するとすぐに寝てしまった。


(ああ、いよいよこの手紙を見る時が来たか...)


そうして私はゆっくりと手紙を開ける。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


お姉ちゃんへ


飛行機の中でこの手紙を読んでくれてるかな?

昨日話し合った結果お姉ちゃんに守っていただく『約束』をここに記します。


① 男に近づかない

②やむを得ず男と話す時は奏兄もいれること

③絶対に男と2人にならない

④定期的に連絡してください

⑤寝る前は必ず家に電話かけてね

⑥素敵なおみやげ待ってます


以上お姉ちゃんに守ってもらう約束です。

すっごく簡単でしょ?僕お姉ちゃんのこと信じてるからね!!

あ、約束破ったらお姉ちゃん分かりやすいから嘘ついててもすぐ分かっちゃうんだから!

じゃあ修学旅行楽しんできてね。大好きだよ。


双葉より


P.S.

姉貴気をつけてね、1人の登校やだ... 瞬

姉ちゃんの笑顔が大好きだから早く帰ってきて 怜

寂しい、姉ちゃんいないと寂しい 優



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「なるほど...」


そう小さな声で呟く。


いや最後の方はかわいかったよ!連絡するよ!お土産買ってくるよ!

みんなメッセージ書いてくれたのもすごく嬉しいし...。

さっそく会いたくなっちゃったよ。


でも2つ目厳しくない?奏ちゃんクラス違うから多分三日目ぐらいしか会えないよ...

まぁなんとなく予想はしていたけどね。


「なるべく守れるよう努力します」

そう心の中で弟たちに誓った。


といってもだいたい琴葉ちゃんといるつもりだからそんなに心配しなくてもって感じではあるんだけどね。


すると通路を挟んだ隣からつんつんと指を刺された。


「成瀬さん真剣な顔して何か見てるけどどうしたの?」


そう声をかけてくれたのは聖くんだ。

手紙が気になりすぎてすっかり忘れてたけどそういえば隣の席だった。


「実はこれ弟たちからの手紙なの」


そう言うと聖くんは


「わざわざ手紙なんて愛されてるね」


と微笑んでいる。


ドキッ


なんだかまた心臓がドキドキしてきた。

聖くんを話していると最近こういうことが多い気がする。変な感じ。


んん、あれ?というかこれさっそく私約束破っちゃってる...?




ここまで読んでくださりありがとうございます。

新しく作品を投稿し始めましたので、よろしければそちらも読んでいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一文一文が短いので読みやすいところがいいと思います。 [一言] お久しぶりです!! 今回も楽しく読ませていただきました。これからもよろしくお願いしますね。
2021/02/10 21:02 退会済み
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