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返事



返事を決めた次の日の朝、ゆかはすっきりとした目覚めを迎えていた。

リビングに向かうといつも通り双葉がご飯を作ってくれている、そんな日常だ。


「双葉おはよう」


「あ、お姉ちゃんおはよう!なんか今日はいつもより気合い入ってる?」


「まぁね!」


いつもとの違いを察することができるなんてさすが双葉だ。

人のことをよく見ていて感心する。


「何かあるの?」


「私にとっては大事なことがあるの。内容は内緒!」


「うぅ〜それは気になる!告白とかじゃないよね!?」


「そんなんじゃないよ!」


「それならよかった!そんなに気合い入ってるから誰か好きな人でもできたのかと思ったよ」


「それは今のところないかなぁ」


「お姉ちゃん好きな人作らないで!ずっと僕だけを見ててよね!」


弟は相変わらず私の恋は許してくれないらしい。

でもきっといつかは恋をする時が来るだろう。

その時はどうしたらいいのか。


「今のところだからね!双葉だってそのうち好きな人ができるでしょ?」


「それはない!僕お姉ちゃん一筋だから!」


そう真剣な顔して訴えてくる。

もう中学生なんだから彼女とか出来てもおかしくないのに。

しかも双葉は芸能界にいるんだから可愛い子が周りに沢山いるはずなんだけどなぁ。


「姉貴、双葉おはよ」


「あ、おはよう!」

「お兄ちゃんおはよう〜」


双葉と話していると瞬も起きてきた。

相変わらず眠そうな目を擦りながらあくびをしている。


「じゃあご飯食べよ!」


そうして私たち3人で朝ごはんを食べた。

今日のご飯も絶品!さすが双葉!


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


学校に着いたゆかは一条くんにさっそく声をかけた。


「ねぇ一条くん...お昼休み話があるんだけどいいかな?」


「ゆかちゃんの話ならなんでも聞く!全然大丈夫!」


そう一条くんは笑顔で了承してくれた。

お昼休みにしたのは一条くんは放課後きっと部活があって時間がないだろうからと思ったからだ。

なかなか自分から声をかけることがなかったから緊張はしたが一安心だ。


(よかった...まだ大事なのはこれからだけど!)



そして昼休み、私は一条くんにあまり人目のつかないところに来てもらった。


「ゆかちゃん、話って告白の返事でしょ?」


さすが一条くん。鋭い。


「うん。わざわざ来てくれてありがとう」


早く言わなきゃって思うけれどなかなか声を出すことが出来ない。

こんな経験は初めてで胸がドキドキとしている。


「ゆかちゃんゆっくりで大丈夫だから。落ちついて、ね?」


そう一条くんが言ってくれた。

今の自分にこんな優しい声をかけてくれる。

そんな一条くんはすごく魅力的だと思う。

でも...


「ごめんなさい...一条くんとは付き合えません」


そう決心して答えた。

ゆかは一条くんの方を怖くてみることが出来ない。

緊張と少しの不安で手も震えてしまっている。


「そっかぁ〜。なんとなくそんな感じはしてたんだ」


そっと一条くんが私の手を握った。

その手は大きくてすごく暖かい。


「こんなに震えて...すごく頑張って返事くれたんだね、本当にありがとう」


わたしはフルフルと首を振る。

私は感謝されるべきではないのに...。


「私ね、一条くんとは今みたいに友達でいたいって思ったの。まだ出会って短いけど一条くんの人柄を知って、このままの関係で過ごしていきたいって...」


そう言うと一条くんは私の手を少し強く握った。


「正直付き合えないのはショックだけど、ゆかちゃんにそう言って貰えるのは嬉しいよ。ゆかちゃんはさ、もう好きな人できちゃった?」


「それはまだ...」


「それなら俺は諦められない。ふられてるのにって思うかもしれないけど、こんなに好きになった女の子は初めてなんだ...迷惑はかけないからそれでもいいかな?」


ゆかはそっと頷いた。

好きって気持ちをやめてなんて言えるわけない。

自分はまだ恋がわからないけど、きっとその気持ちは簡単に崩すことができないんだろう。


「ありがとう。俺ゆかちゃんがフリーな限りは可能性があると思ってるから。心の隅にでも俺がいると嬉しいよ。でも自分を好きになって欲しいけど、ゆかちゃんが恋をしたって時には友達として全力で応援してるからね」


そう一条くんは言ってくれた。

本当にどこまでも優しい。

友達として自分を応援してくれるっていう言葉が自分に力を与えてくれる。


「一条くん、ありがとう。これからも仲良くしてね」


その言葉に一条くんはすごく眩しい笑顔を見せてくれた。

それだけでゆかは少し心が救われた気がした。

これから先いろんなことがあっても、今日この日の出来事をきっと忘れることはないだろうと思った。

初めての経験が少しの成長を自分にもたらしたんだ。






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