ラストシーンと白い奇跡
病室に戻ると、清潔な白に満たされた部屋で夏奈が眠っていた。
夫とは違い、夏奈はその命をこの世に繋ぎとめることができた。
「良かった・・・・・・」
夏奈が雅喜くんに会いに行ってしまわなくて、本当に良かった。
小さなその手をきゅっと握る。
「夏奈」
雅喜くんがくれた、大切な命。もしかしたら、天国の雅喜くんが護ってくれたんだろうか?
ふわっと、背後に誰かが立った気がした。――いや、気のせいじゃない。
反射的に振り向いて、春佳は目を見開いた。
映画のラストシーンみたいに透明で、ちょっぴり現実感がなくて、懐かしくて、とっても優しい光景。
「雅喜くん――」
しーっと唇に指を添えて、そっと春佳の肩越しに夏奈を覗き込む。
背の高いどこかの誰かさんは、ちょうど今みたいに後ろから夏奈を覗き込むのが好きだった。そう、今みたいに私の頬をそっと撫でて、夏奈の髪を優しく梳いて。
そう、今みたいに、私に微笑みかけてくれるんだ。
そして、二度目のお別れがやって来る。
二人きりの病室へと吹き込んだ初夏の爽やかな風に、真っ白なカーテンが翻った。
「くすっ」
また、涙がこみ上げてきた時――。
夏奈の長い睫毛が揺れ、そして――。
「・・・・・・おかあさん・・・・・・?」
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