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縁の下の力持ちとわんこそば
からん、ころん――。
「いらっしゃい」
今日二度目の『喫茶 ピエロ』。穏やかな空気感は変わらない。
「おい! 稀子!」
・・・・・・前言撤回。カウンター席に積まれた大量の皿と怒声が、非常に険悪な空気を醸している。
『お疲れさま、王手雑誌編集長殿』
「お前、どんだけ大変だったと思ってるんだ! 一介の雑誌編集長がテレビ局に口をきくなんて、前代未聞だぞ!」
『それでも、やり遂げたんだろう?』
「当たり前だ! お前は後が怖いからな!」
怒鳴りながら、大きなチーズケーキを二口でたいらげる。美玖さんが慌てて次の皿を置いた。
わんこそばみたいである。
「どこの局も、放映はしていないはずだ」
『ありがとう』
「ふん」
金本さんは鼻を鳴らした。
「金本さんだったんだ・・・・・・」
報道関係に圧力をかけ、佐々木さんを護っていたのは金本さんだったのだ。
『さっき、長谷川さんたちにも知らせたし、これで終わりだな。後は、夏奈が目を覚ますだけだ』
稀子が呟く。僕、金本さん、櫻井さんと美玖さんが頷いた。
「お二人とも、本当にお疲れ様でした」
甘いミルクティーとチーズスフレが、僕らの目の前に置かれた。




