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片眼鏡少女の責務

 「夏奈は・・・・・・死んでいないのか」

「ええ」

 稀子は頷く。

「『夏奈ちゃんのことがあって落ち込んでいる』、『家から一歩も出ない』。普通なら、お見舞いに行くでしょう? あれほど仲の良かったあなたが病院に行かなかったのは、夏奈が死んだと思ったからじゃないですか?」

 僕は身動きもせずに、追い詰められていく北川さんを、追い詰める稀子を見ていた。

 稀子は淡々と、夏奈が柵を乗り越えたトリックを話した。徐々に北川さんの瞳が潤み始め、涙が伝っても、稀子は話を止めなかった。

「あなたは落ちた瞬間を見ていた。すぐに帰ってしまったためその後の情報は入らず、自責心も手伝って、夏奈は亡くなった、自分が殺したと思い込んだんじゃありませんか」

 機械のように淡々と動く口。追い詰めているはずの稀子も、北川さんと同じくらい辛そうだった。

「偽りの手紙を渡し、夏奈をベランダへ導いたのはあなたです。北川さん」

 北川さんは、恐れと不安が入り混じった視線を稀子に注いだ。稀子はその視線を真正面から受け止めている。まるで、それが己の責務だとでもいうように。

「・・・・・・そのとおりだ」

 やがてしわがれた声で、北川さんが呟いた。

 それが事件の終幕だった。


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