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片眼鏡少女の追及
ああ、やっぱりそうなんだ。『道化師』の仮面を外した僕は、気味が悪いんだ。
稀子は僕の表情を見て顔を歪めた。稀子、そんな顔しないでよ――。
そっと、冷え切った小さな手が僕の握り拳に触れる。たったそれだけのことなのに、僕はどうしようもなく安心して、目の奥がじんわりと熱くなった。
「分かっていただけましたか?」
北川さんは、何も言わない。
「これはあくまで、推測に過ぎませんが――」
稀子が部屋を見回す。小さなラックの上に、キャラクターもののシールがあった。
「あなたは、雅喜氏――亡くなった夏奈の父親に成りすまして、夏奈の前に現れるつもりだったんじゃないですか? それをプレゼントにするつもりだったのでは」
「・・・・・・違う」
「それで自分の名前を書かずに手紙を届け、夏奈をベランダに呼び出した。ところがベランダに駆け込んできた夏奈はなぜか跳ね飛ばされるようにして柵を乗り越え、落ちてしまった。あなたは自分のせいだと思い、夏奈の状態を見て『死んだ』と判断して野次馬の中から夏奈を見るようなことはしなかった。だから病院にも行っていない。お婆さんも、どうやら夏奈が亡くなったと思っているようですし」
北川さんが、ぎょっとした顔で稀子を見る。頭を抱えていた手がだらりと落ちた。




