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お腹が空かないか?

 まだ謎は残っている。あの『雅喜さんからの手紙』を、誰が書いたのかということだ。僕がそう尋ねると、稀子はちょっとだけ口元を緩めた。

『それは君に協力してもらって解くさ。私一人だけでは出来ないのでね』

 スマートフォンを片手に稀子は部屋を出て行った。僕は振り返り、複雑に絡まった毛糸のような気持ちを抱えてベランダを見つめた。それから鍵を閉め、稀子の後を追った。

 マンションのエントランスを出ると、じりじりと焼けつくような日差しが僕を襲った。稀子はちゃっかり、白いレースがたっぷりあしらわれた上品な日傘をさしている。避暑地のお嬢様みたいだ。

 これから、どこへ何を調べに行くのだろう。

「どこへ行くの?」

『七海、お腹が空かないか?』

「へ?」

 時刻を見ると、午後一時三十分。確かにお昼時ではある。

『喫茶 ピエロへ行こう』

 稀子はそれだけ僕に伝えると、さっさと歩き出してしまった。僕はあっけにとられてぽかんとした後、

『・・・・・・史上稀に見るアホ面だぞ、七海』

 送られてきた稀子からのメールで我に返り、慌てて後を追った。

 いや、それにしても――

「・・・・・・余計なお世話だよ」

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