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ワンピース少女と由々しき場違い感
それから十分後、稀子が僕の部屋に到着した。
白衣みたいに白い、お嬢様風のワンピース。黒髪とのコントラストがとっても綺麗だ。ただ、片眼鏡だけがものすごく強烈な場違い感を発している。いっそ、そのアンバランスさが欠かせないアクセントに思えてしまうほどだ。今日はパソコンを持っておらず、代わりに手にはスマートフォンを握り締めていた。
「おう。久しぶりだな、嬢」
嬢とは、長谷川さんが稀子につけた呼び名だ。
『こんにちは。長谷川さん、高梨さん』
稀子が画面を見せる。
『さっそくで申し訳ないんですが、現場を見せていただいてもいいですか?』
高梨さんが頷く。
「現場検証も終わっていますし、大丈夫でしょう」
長谷川さんが、どっこらしょと調子をつけて立ち上がった。高梨さんと僕も続く。稀子は座ったまま、じっとベランダを眺めていた。
「稀子?」
『ああ。行こうか』
稀子はベランダから一時も視線を外さないまま、立ち上がった。僕ら男三人は首を傾げたけれど、誰も稀子に尋ねる様なことはしなかった。稀子の行動には全て意味があるということを、骨身に沁みて知っているからだ。




