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凸凹警察官とアイコンタクト

 小さい方――長谷川さんはベテランの警察官だ。いつ見てもよれよれのスーツに擦り切れた革靴。眼光は鋭く、髪を剃りあげてしまっているため、ぱっと見ただけでは『その筋の人』に見える。

 対して、腕組みをして僕を睨んでいる大きい方――高梨さんは、いつ見ても某有名ブランドのスーツに某高級ブランドの革靴を合わせた、細身の若い警察官。モデルのように引き締まった長身、女の子がほうっとなるような甘いマスク。ぱっと見ただけでは『その世界の人』に見える。

 僕は何度も警察の方にお世話になっていて、彼らにも幾度か救ってもらった・・・・・・と言うと、ちょっと誤解を招くかもしれない。稀子と一緒にいると、なぜかそういったものに巻き込まれてしまうのだ。

「君、佐々木春佳さんと親しいか?」

「ええ、まあそれなりには・・・・・・」

 長谷川さんは高梨さんに目配せをした。高梨さんは手帳を取り出し、メモの用意を始める。

「佐々木さんは、どういう人なんだい?」

 なるべく安心させようとしてくれているんだろうけれど、この顔でははっきりいって効果が無い。

「優しい人です。僕にもよく声をかけてくれたり、残り物のおかずをくれたり。夏奈とも仲が良くて、いい親子でした」

 長谷川さんは、うんうんと頷く。僕が言外に含ませたことを、正確に読み取ってくれたようだ。

「ありがとな」

 長谷川さんは、もう一度高梨さんにアイコンタクト。ぱちぱちっと瞬きをしている。それを受けた高梨さんは、夕食にピーマンが出てきたときの幼稚園児みたいな顔で目をぱちぱち。

 長谷川さんもぱちぱち。負けじと高梨さんもぱちぱち。

 ぱちぱち、ぱちぱち、ぱち、ぱちぱちぱち、ぱちぱち、ぱち、ぱちぱちぱち・・・・・・。

 正直なところ、真昼間から男二人が見つめ合って目を瞬かせているのを眺めるのは気持ちが悪い。

 「僕、これから稀子と約束があるので失礼しますね」

 諦めて、僕は彼らが押し付けあっていた言葉を代弁してやった。稀子の持つ推理能力――というか、ほとんど超能力に近い思考力を二人は大いに信頼している。早い話、厄介そうなこの事件を稀子に解かせたがっているのだ。それがいいことなのか、僕は警察組織に詳しくないので分からないのだけれど。

 案の定、二人は僕に向き直って満面の笑顔を輝かせていた。

「我々も同行するよ」

 僕は盛大に溜息をついて、エレベーターへと歩き出した。


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