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「あららっ!」
それは、次の本に手をかけ、一つまばたきした時だった。ランは前にころんと崩れ、両手を石畳の上についた。
しゅるるっと吹きつける冷たい風に、オレンジがかったイロハモミジがはらりと過ぎていく。外にいると分かり、不思議に辺りを見回した。そして、道の先の古びた二枚扉に気づくと、黒い球にぼんやりと照らされているそこに、ゆるゆると立ち上がる。時に煌めきを見せるそれは大きな宝石のようで、もっと近くで見てみたくなった。
着いたところで立ち止まると、今度は建物の輪郭をなぞっていく。端は両側の森の奥まで続いているのか、天辺は葉が生い茂るところまでなのか。風になびくせいで、その高さはじわじわと伸びていくようにも見える。
「マジックハウスか何かかしら?」
踊りだす胸に手を添えると、玄関灯の黒い球から、あることが過った。
「なんだかパワーストーンみたいね。金色か黄色の模様がついたものが確かあったわ。それの大きいやつかしら?」
訪ねてみようにも呼び鈴はなく、胸の手を握りしめると、ごくりと息を呑む。そして、思い切ってノックしてみる。弱すぎただろうかと、今度はもう少し強めに叩いてみる。しかしまだ足りないのか、更に大きく拳を叩きつけた途端――ギイイッと、向こう側に開いた隙間からふわり、紙の香りが迎えた。
「こんにちは……?」
薄暗い奥にぽつんとあるカウンターには、水色の光が小さく佇んでいる。そろそろと視線を天井に向けると、四色の淡い灯がダイヤを描いて並んでいた。
ここの照明器具はそういったインテリアで統一されているのかと想像するうちに、慣れた視界に滲み出る本棚の壁に息をこぼす。
「あらあら、これは一体……!」
天井までびっしり本で埋め尽くされた空間に呆気にとられると、そのまま誘われるように一歩、また一歩と中に入っていった。




