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外に出ると、紺色を占めたグラデーションの夕空が迎えた。
ヴェーラに見送られる途中、緋向は、今度は一切の動揺もなしに振り返る。
「そういやさっき気づきましたけど、入ってすぐのところの大きい石、あれもパワーストーンですか?」
「あれは“夜の地球”です。当館には世界中の方がいらっしゃるので、お話しがスムーズにできるよう、それに触れて言語を統一します」
「めちゃくちゃ便利な翻訳システム! というか、そんな魔法が使えるんはええですね。そういうネタも取り入れたらおもろそう。魔法って言うても、こんな雰囲気では書いたことないし、そういう意味でもここはええ参考なりました」
「そう、ですか」
ヴェーラの返事に、緋向は早くもくるりと向きを変え、書きたい物語をイメージしながら歩いていく。
「ところで緋向さん、この後は早速執筆ですか?」
キャップ帽を被りながら、緋向は口を尖らせる。
「そうやなぁ。いつもやったら次の日の朝にアップするけど、今は帰って落ち着いたらもう一話上げたい気分ではある。ほんでも、それより別のことに頭つこてもええかなぁ」
緋向はポケットからブックマーカーを出すと、回転に合わせて走る輝きを辿る。
「では例えば、頭にある物語の道標を実際に見えるようにし書き出してみるのはどうでしょう。せっかくですから!」
ヴェーラが意味するものを、緋向はしばし噛みしめる。赤い輝きの中に、じわじわと新しい試みが湧いてくる。
「ま、考えときますわ!」
サックリとした声に、ヴェーラは頬を引き上げる。
「緋向さんの小説、引き続き読ませて頂きますね。謎解きダンジョンでのミステリーや、敵キャラに転生してしまったドライバーさんのゲーム界でのご活躍、どれも斬新な展開をお持ちで、終わってしまうのが惜しいくらい。でも、やはり最後がどうなるのかは気になりますからね」
「あー……はははは、そうやんねぇ」
緋向の苦笑に今度はヴェーラがくるりと向きを変え、館内に戻ろうとする。
「あ、ヴェーラさんごめん、ここはどうやって向こうの世界と繋がってんのかな? この道まっすぐ?」
問いかけるのも束の間、ヴェーラはもうドアノブを握り、ちらちらと手を振っていた。




