3日目 コンビニ
3日目、みんなほんとゴメン。1日目、2日目と続き、またイレギュラーが起こってしまったんで今日はある日の俺の夕方から夜の生活を見せようと思う。
夕方、まずはシュワ⚪︎⚪︎ネッガーのいるスーパーで買った食材で晩飯を作る。
玉ねぎを刻み、にんじんとじゃがいもを大きめに切る。ナスは輪切り、ブロッコリーは食べやすいサイズに分けておく。
鍋に油をひき、玉ねぎを炒める。飴色になったらにんじん、じゃがいも、肉を加えてさらに炒める。水を注いで煮込み、野菜が柔らかくなったらカレールウを入れる。最後にナスとブロッコリーを加えて軽く煮れば完成。
いただきます!
熱々のカレーをご飯にかけ、一口。
最初に来るのはカレーのコク。
そのあと、玉ねぎの甘みと野菜の旨味がじわっと広がる。ホクホクのじゃがいも。柔らかいにんじん。ルウを吸ったナス。ブロッコリーの食感もいいアクセントになっている。
ただの“カレー”というより、“ちゃんと料理した感”のある一皿。
食べ進めるほど体が温まり、気づけばスプーンが止まらなくなっていた。
その後、俺は風呂に入る。幸い幻覚も幻聴も起きなかった。
入浴後、部屋のチェアに座りながらゆったりする。
だがふと思いついた
「アイスが食べたいなあ」
思いついたが吉日、服を整え、近くのコンビニへ
うーむ、何を買おうか、チョコ系?バニラ系?それともコーヒー系?
うん、決めた!今日はコーヒー系だ!
正直、コンビニへ行くこと自体がリスキーだが今日の俺は欲望に従うことに決めたのだ!
俺はハンマーを持ち、コンビニに着いた。コンビニのアイスを手に持ち、レジへ。店員はまるでシルベ⚪︎⚪︎ローンのような風格で中々に緊張する、それに加えてパンデミックの際に国によって売られた銃器を担いでいるので風格がましましだ。なんとか最小限の会話で決済し、アイスを持って帰る。
その途中だった。
ルンルン気分でアイスの袋をぶら下げながら歩いていた俺の前に、人影が現れる。
街灯の下。
ふらり、ふらりと人影が揺れている。
「……ん?」
俺は反射的に進路をずらした。
右へ。すると人影も右へ寄る。
「え?」
左へ。するとまた左へ。なんだこいつは酔っ払いか?
いや、この世界で夜にフラフラ歩いてる時点でだいぶ危険人物だ。俺は警戒しながら距離を取る。
その時だった。街灯の光が、そいつの顔を照らした。
皮膚が崩れている、片目が白く濁っている、口元には乾いた血。
「あ゛……」
ゾンビだった。
「っっっっっうぉ!?」
変な声が出て、心臓が一気に跳ね上がる。
しかも近い!想像以上に近い!!
ゾンビはゆらゆら揺れながら、俺へ向かって手を伸ばしてくる。
「あ゛〜……」
「いやいやいやいや!!」
俺は後退り、アイスが揺れる。
落としたくない。でも怖い。いやアイスどころじゃない!!ゾンビは一歩、また一歩と近づいてくる。歩きは遅い。だが夜道で遭遇すると、妙な圧がある。しかも今の俺、片手にアイス、片手にハンマーという意味不明な装備状態だ。
「く、来んなぁ!!」
俺は涙目でハンマーを構える。だがゾンビは止まらない。
「あ゛ぁ……」
しかもなんかちょっと足速くなった気がする!
「うわぁぁぁぁっ!!」
俺は完全にビビり散らかし、きびすを返して全力疾走した。走る。走る。後ろを振り返る。ゾンビが追ってきてる!!
「来てる来てる来てるぅ!!」
パニックで半泣きになりながら走る。途中、アイスを落としそうになる。
「うぉっとぉ!!」
ギリギリキャッチ。危なかった。いやアイス守ってる場合じゃねぇ!!息が切れる。肺が痛い。だが今ここで止まったら終わる。俺はバリケードの見える路地へ飛び込んだ。
「開けてぇぇぇぇ!!」
俺は半狂乱でドアを叩く。
ガンガンガン!!
「ゾンビぃ!!ゾンビいるぅ!!」
中から住人の声。
「またぁ!?」
「今度は本物ですってぇ!!」
ガチャガチャと鍵が外される。ドアが少し開いた瞬間、俺は滑り込むように中へ飛び込んだ。
「閉めて閉めて閉めてぇ!!」
住人のおじさんも慌ててドアを閉める。
ガンッ!!
施錠、チェーン、補強材。
よし安全!俺はその場へへたり込んだ。
「はぁっ……はぁっ……」
汗がヤバいし、呼吸もヤバい。すると外から、
「あ゛〜……」
と間抜けな呻き声が聞こえた。恐る恐る覗き窓を見る。ゾンビはバリケードの前で少し立ち止まり、そのまま別方向へフラフラ歩いて行った。
……助かった。
マジで助かった。
住人のおじさんが呆れ顔で言う。
「前田くん、そんな慌てて……」
「だ、だってゾンビ!!」
「いやまあゾンビはいるだろ」
「そうだけどぉ!!」
俺は涙目で反論した。するとその時、手に持っていたコンビニ袋が視界へ入る。
……アイス。
無事だった。
「……よかったぁ」
俺は心の底から呟いた。命からがら逃げ帰って最初に出た感想がそれだった。




