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戦線貴族家三男は最弱最強の兵器 ー 兄二人が可怪しいです!助けて! ー  作者: たきわ優


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第46話 変態

登場人物のおさらい


リア・マギュロ

主人公。エドゥ王国、マギュロ家の三男。七歳。転生者。


リック

リアの初めての側近。十四歳。使用人八門の八門の出。


マルス・マギュロ

エドゥ王国 マギュロ家の長男。十九歳。軍の司令官。婚約者のマリア命の狂人。


マリア・キュジラ

エドゥ王国キュジラ家の長女。マルスの婚約者なので苦労人。


マーカス

マルスの側近。苦労性の常識人。マギュロ家使用人八門、一門の出。


マリオ

マルスに忠誠を誓っている、魔道具や兵器の開発をしている技術者。


マーク 

マルスに忠誠を誓っている側近で、マルスが突然拾ってきた。使用人八門の出ではない。

 僕は七歳になった。


 未だに魔法は全く使えないが、まだ七歳だからあまり気にしていない。

 六歳から剣の稽古を始め、木剣(ぼっけん)をブンブン頑張って振っているのだが、僕には全く才能がないのではないかと思う。

 リックが相手をしてくれて、木剣をえいやっと振るが、避けられると木剣の動きに合わせ前のめりに倒れてしまう。もちろんリックが地面に接触する前に受け止めてくれる。


 この世界では、結界の魔法があるので、盾は基本使わない。

 だから、前世の西洋みたいに片手で剣を握り、もう片手で盾を持つなんてことはない。

 なら、日本刀みたいに両手で剣を握るのか、と言えばそうでもない。

 両手でも握るが、常にいつでも片手でも扱えるようにしておかなければいけない。

 理由は、魔法があるからだ。

 両手や片手で剣を扱いつつ、空いた片手で魔法攻撃もする。

 そういう戦闘の立ち回りが求められるらしい。


 子供用の木剣でも正直僕には重い……。

 筋力もないので、両手ならまだしも片手でなんてもっと無理で、一年頑張ったが、殆ど上達していない気がする。でも、カンカンとリックと剣を打ち合うのが楽しいし、僕まだ七歳だし、まぁいいかなと思ってる。

 リックが「お上手です!」と褒めてくれるし、兄ちゃん達が「リア、格好良いじゃないか!」って褒めてくれるし。

 照れ照れしながら、励んでいる。


 そんなある日だった。


 お庭で、僕の考えた格好良いポーズをしてマルス兄さんとリックに褒められ照れ照れしていると「マルスっ!!!」と、マリア姉さんの大声が聞こえてきた。

 少しして、どう見てもお怒りの様子のマリア姉さんが、マルス兄さんを睨みつけながら向かってくる。

 そのまま進んで、何故かリックの横まで行くと、僕との稽古用のリックの木剣をリックから奪い取り、マリア姉さんがマルス兄さんの首に木剣を突き付けた。


「死んで詫びなさい! マルスっ!! あなた、一体何を考えているの!!!」

「マリア、死んでしまっては愛しいあなたの側に居れないではないですか。嗚呼……今日も美しい、私の女神」


 婚約者に死ねと言われても全く気にせず、マリア姉さんを崇めるマルス兄さん。

 うん。いつも通りの光景だなぁと思っていると、マリア姉さんの侍女のマリーが何かを抱えてやって来た。

 マリア姉さんは、マリーの抱えるものを木剣を持っていない手で指差す。


「これ! これをマリオが私の部屋に取り付けているところを捕縛したわ! よくもまぁ……よりにもよって、このっ……この私の浴室にっ!!!」


 そう言いながら、マリア姉さんはマリーの持っている何かを掴み、地面にそれを叩きつけ……魔法を放った。

 衝撃で砕け散る何か。

 何だろう? と首を(かし)げていると「あああああああああ!!!」と、マルス兄さんが叫んだ。


「この変態っ!!」


 そう言うと、木剣をリックに返し、マリーからさっと扇を受け取ると、呻きながら蹲っているマルス兄さんを扇でバシバシと殴打し続ける。相当怒っているのか、いつもより力強いみたいで、扇は数度殴っては折れ、その度にさっとマリーが新しい扇を手渡し、扇の残骸がマルス兄さんの回りを埋めて行く。

 マリーはいくつ扇を隠し持っているのだろうか? どこに隠していたのかもわからない。 凄い! なんか、格好良い! 僕も出来るかなぁ?


「あれは遠隔で覗き見る魔道具なのでしょう?! あなたはそれをっ……!!」


 ポキリと折れ、持ち手部分だけ残った扇をマリア姉さんは、力強くマルス兄さんに叩きつける。

 と同時に、何故かリックが僕の目の前に来て、サッと僕の両耳を手で塞いできた。

 ん? と思いリックを見上げると、ちょっと引き攣った笑顔をしていて、正面から両耳を塞がれたまま、僕の体をリックの体が包むようにして体の向きを変えられ、よくわからないまま僕は部屋に戻された。






 

 マーカスは、自分の主を殴りながら怒りまくり罵倒するマリア様の話を、今度は何をやらかしたのだ……と頭を抱えつつ覚めた目で眺め、聞き続けていたのだが……罵倒しながら話すマリア様の断片的な話を繋ぎ合わせ、全貌が見えてきたところで……一気に血の気が引いた。


 マルス様の部下であるマリオ――私の中では、ニヤけながら「へへっ」とヘラヘラしている変人――が、城内に用意されているマリア様の部屋に何かを仕掛けている所を、予定より早く部屋に戻ったマリア様達が発見。

 マリオがいる時点でとんでもなく怪しいし、マルス様が何かを命じたのは明白なので侍女や護衛が即捕縛。

 手に持っていた魔道具らしきものを取り上げると、そこにはマリア様の部屋の映像が……。

 侍女達で手分けして部屋中を探すと、同じような小型の魔道具のような物がいくつも見つかり、その一つはマリア様が使う浴室にも……。

 つまり、魔道具を使用してマリア様の部屋をマルス様は覗き見ようとしてたのだ! しかも、浴室まで……!


 ありえないありえないありえない!!!

 いつもやらかしているが、其の内もっとやらかすだろうと覚悟はしていたが、婚約者とは言え、未婚の他家のご令嬢になんて事をっ!!!

 マリア様は、こんな屑でも諦めず身を捧げてくれた女神様のような方なのにっ!!!


 しかも、マリオが部屋に仕掛けていた魔道具は、数年前から隣国で協力を得ることの出来た同胞に装備して貰っている映像と音声を送るあの魔道具だろう。

 マリオはヘラヘラしている変人だが、魔道具作りに関してだけは本物の天才で、その想像を凌駕した魔道具越しに映像を見た時は本当に驚かされた。

 あの魔道具は、南部の法整備が整うまでは許可のない複製を禁じられている。つまり、目の前でマリア様の魔法により粉砕されたこの残骸は、マルス様が違法に作らせた物……。


 主の愚行を一切止めない役に立たないマーカスを除く私含め側近三名でマルス様の監視は怠ってなどいないはずなのにっ! 本当に、いつもいつも気付かぬ内に大問題を引き起こすっ!!!


「あんた何やってんですかぁぁぁぁぁ?!」


 私はそう叫び「縄をっ!」と、側にいた使用人(同僚)に指示を出し、この変態を拘束すべく蹲っているマルス様()の腕を捻り上げた。

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