17、ダブルセブンアイ 理由 真実
「全員集合。
こちらは、我が護衛団の隊長の
マサ軍曹殿であります。
これから私達は隊長とお呼び致します。
隊長、まず彼女がルビ。
カランビット使いであります。」
コウは、まず一番近くにいたルビを紹介した。
ルビは褐色の肌で、黒い髪、
透き通るような青い目をした
若く美しい女性だった。
しかし、美しいが妖しい雰囲気を持っている。
多分、歳は僕とそんなに変わらないだろう。
ただカランビットが何なのか、僕は知らなかった。
「彼がロク。動物使いであります。」
動物使い。初めて聞く職業だ。
ロクは僕より10センチ位背が高く、
整った顔立ちの好青年だった。
僕より5才位は年上の気がする。
彼は左手に手袋をはめ、
そこには鷹が止まっていた。
彼の右肩には、すごく小さな猿?が乗っていた。
猿はチョロチョロと動き、
右肩から左肩に素早く移動し、
そこから更に、彼の頭の上に乗った。
僕は鷹が猿を襲わないか心配したが、
鷹は大人しくしており、
大丈夫そうな感じなので安心した。
「彼は、ジユ。帆船使いです。」
ジユは僕より10才位上だろうか。
比較的小柄で、
愛嬌のある顔つきをした男だった。
「これより隊長と、副隊長兼案内役の
私コウを含めた五人で護衛団を結成致します。
では隊長、我ら護衛団の名をお決め下さい。」
「護衛団の名‥」
コウからの突然の振りに驚きながら、
僕は自分の指の
師団長から授かった指輪を眺めた。
「スカイライオネット、
我らが隊は、
スカイライオネット護衛団とします。」
その後、ロクは鷹を放ち、
僕に馬の乗り方を教えてくれた。
生まれて初めて乗る馬の背は
思った以上に高かった。
ジユも初めて馬に乗るようで、
四苦八苦していた。
コウとルビは、すんなり馬に乗っていた。
多分乗馬の経験があるのだろう。
大型の白馬はロクが乗った。
その白馬は、動物使いの彼にしか
乗りこなせないと言う。
二日程野営をしながら移動し、
夕日の沈む頃、
僕らは北部高原に到着した。
北部高原の大草原が
元宰相の領地であった。
夕日に空と草原が美しく染まり、
草原はそよ風に波打っていた。
この草原を僕は知っている。
ここを横切って僕らは故郷から帝都に向かった。
吹く風が心地よく、
アモの種の試練の不安を
和らげてくれた場所だった。
あの時、
草原の遠くに屋敷が見えたのを覚えている。
僕は、こんな景色が良い場所に住めるなんて
さぞかし気持ちがいいだろうなって思ってた。
それが元宰相の住居だったとは‥。
屋敷には着くと、
早速、僕とコウの二人は
元宰相の大侯爵の元に案内された。
大侯爵はベッドに横たわっておられたが、
僕らの姿を見ると起き上がって話しかけて来た。
「君が護衛団の隊長か。」
「はっ、マサ軍曹であります。」
「ずいぶん若いな。
だがシセ少将が見込んだ者なら、
間違いないであろう。」
「恐縮です。」
「今回の救出作戦は、
コウと共に退官した私も立案に関わった。
この老体に鞭打ち励もう。
君も最善を尽くせ。」
しかし、僕は内に秘めた疑問を口にしてしまった。
「恐れながら、大侯爵。
今回の作戦に命を差し出す覚悟とか。
大侯爵は既に退官された身。
何故、そこまで神帝に忠義を示すのでしょうか?」
大侯爵は真っ白な顎鬚を触ってにやりと笑った。
「ほう、面白い。
だが、まだまだ青いな。
君は思った事を直ぐに口にしてしまうようだ。
まあ、しかし我らはこれから、
お互いの背を預ける者同士。
信頼が大事た。
疑問は不信に繋がる。
真実は共有しておこう。
我が真の目的は、君の後ろの愚息の復権だ。
コウは私の一人息子である。
我が命を賭けた作戦の成功を持って
息子の過去の汚名は抹消され、
表舞台にあがる事を神帝は約束されたのだよ。」
僕は振り返ってコウを見た。
コウは俯きなら、頭を下げた。
「もうすぐ、
ここに建国の四勇者の一人、
西域の辺境伯が私の見舞に来る。
彼は10才の時、父親と一緒に
最初のアモの種の試練に臨んた。
父は死んだが、彼は瞳の横の白目の部分に
77の数字が現われ、神帝に次ぐ数字持ちになった。
その後に彼は、
ダブルセブンアイの通り名で呼ばるようになる。
10年後には唯一、
模擬戦で神帝に片膝をつかせるまでの
青年に成長した。
彼は、我ら四勇者の中で一番若くて
総合力では一番強かった。
しかし、彼は四勇者の中では、
一番早く引退した。
王妃が亡くなって
神帝が3年の喪に服していた頃だ。
表向きには神帝は、それまでの功績を讃え、
引退時に大侯爵の官爵を与えた。
だが彼が退官した時の帝国軍の地位は少佐だった。
彼は強かったが、その強さは彼を誇り高き、
頑固で融通が効かない、協調性が無い武官に
してしまっていた。
片膝をついた後から神帝は、
それほど彼を重宝することもなく、
手柄に見合う昇進もさせなかった。
私を含めた残りの三勇者は
無条件に大将を仰せつかったことを考えれば、
若かったとはいえ不世出の勇者だったのだよ。
引退時に大侯爵として与えられた領地も、
帝国とキリ聖共和国とヨン連邦国の
三国の国境が交わる険しい山脈地帯だ。
実際には無法地帯への追放に等しい。
しかし、彼は弓を極めた天才だった。
自己流で磨き上げた剣術も
皇帝の剣と双璧を成す強さだった。
今は60才を超えているが、
敵国が西域の山脈地帯からの侵入を
ここ20年してこないところをみると、
その力は不変であろう。
敵国に睨みを効かせる存在であり続けているのだ。
君は、彼に助力を頼め。」
期せずして僕は建国の四勇者の全てに
関わる事になるようだ。
「現在、建国の四勇者の家系は神帝に
冷遇されてはおりませんか?
辺境伯は協力して下さいますでしょうか?
そもそも、初見の私より、
長年の付き合いのある大侯爵から依頼した方が
良いのではないでしょうか?」
「彼は自分よりも強い者の命令しか受けない。
多分、彼は君との立ち合いを望むであろう。
まずは君が勝負に勝つのだ。
ただ君が負けても、
その力や心意気を認められたら、
我らが依頼を受ける可能性がある。
彼にも協力すべき理由と真実があるのだ。」
「理由と真実?」
「理由とは、
皇太子と皇女を産んだ王妃は
元々は彼の婚約者だったという事だ。
そして真実とは、
双子の皇太子と皇女は
彼と王妃の不貞の子である
可能性が高いという事だ。」
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