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妖精息子ーお母さんと呼ばないでー  作者: みどりりゅう


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34/140

34.王子たち(3)


 かってなことを言いつのる金の王子に、


 少女は

「おことわりよ!なんでぷーすけを殺したやつの協力をしなきゃいけないの!あなたはぷーすけを、『あたしの息子』を殺した!そんなやつのためになることなんて、死んでもごめんよ!」

 激情をこめて声を張り上げた。


 直実も

「おれだって、そうだ!かってに飢えて死にやがれ!」

 さけぶ。


 金の王子は首をかしげて

「残念だ。——まったく、コチラの人間というやつは理性的な判断ができなくて困る。すでに死んだものと今現在生きている自分、どちらが大事なのかの優先順位をつけることもできないのだからな」

 冷ややかにくさした。そして

「……やむをえん。では、そこの少年と共に急場しのぎの餌にでもなってもらうかね?」


 親になるかと言った人間に向かってとは思えないセリフを吐くと……なんと!その優美な顔の真ん中から左右に割れて大口が広がる。

 当たり前だが、彼は人間ではないのだ!


「ひっ!」

 少年少女は駆けて逃げようとするが、どういうことだろう?

 王子の光る眼を見ていると、体がすくんで動けない。


「くそ!なんかの術か!」


「——ふたり仲良く私の養分となり給え」

 妖魔が食事のため大口を開けて近づくと……



「……それは、ちょっとこまりますねぇ」

 とぼけた声をかけたのは

挿絵(By みてみん)


「——お医者さん!」


 まっきぃきぃの短髪にほんのりヒゲ、丸メガネをかけた赤白ボーダーシャツの男だった。診察カバン片手の登場だ。


 おぞましい王子の姿を見ても、なんともない様子で

「あなたがた妖魔のあいだの闘争に関与する気はありませんが、人間に害をなす場合はそうもいきませんよ。わたしだって口をはさみます。とはいえ、もうコチラに被害者が出てしまったようですね。拾い親を殺すとは……申し訳ないことをしました。他の患者さんのところにいて手が回らなかった。やはり、わたしにもひとりぐらい助手がほしいですね」

 ぶつぶつと語りながら、すうっと佐和子たちと王子のあいだに立つ。


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