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妖精息子ーお母さんと呼ばないでー  作者: みどりりゅう


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33/140

33.王子たち(2)

 にくしみで顔を真っ赤にした直実が

「おまえ、王になるんじゃなかったのかよ!?」


 怒鳴ると、王子は

「少々、計画が乱れてね。アチラに行けばそれで済むと思っていたのだが……」

 気落ちげに

「……王子候補は、コチラに捨てられたわれわれ五体のみではなかった。異界にもまだ残っていたんだ」

 驚きの発言をした。 


「ほかにも王子が?……じゃあ、その傷は?」

 佐和子の問いにも


「みっともないことだ。彼らにやられてしまった……一蹴だよ。まるで相手にもされなかった。

 命からがら逃れることができたのも、おそらく私が彼らの基準では問題にならなかったほど弱かったからだろう……わざわざ仕留める気にもならなかったということだ」

 自嘲するように言った。そして

「おかげでずいぶん弱ってしまった。なにせ向こうに行く際に、私は自分の拾い親を処分してしまったのでね……このままでは消滅する」


 そうだ、こいつは自分の親を殺したんだ。ひどいやつ!


「ちくわのかたきだ!ざまあみろ!」

 普段は温厚な直実も、ちくわのことですっかりヒステリックだ。

挿絵(By みてみん)


 そんな激昂する少年よりは落ちついている佐和子は

「……それで、なに?まさか、死ぬ前に反省しに来たとかではないでしょう?」

 慎重に問いただすと、


 弱った敵は

「無論そうだ。私が欲するのは、おまえだよ。少女」


 ほ、ほっする?

 直接的なもの言いに顔をあからめる乙女。


 直実は

「なんだ!?女の子に向かってそんな下品な言い方はやめろ!」

 意外と紳士的な面を見せて、佐和子をかばう。


「下品……まあ、そうかもしれんね。私のやることは、いわば宿の乗り換えだ」


 やど?


「われわれは、妖魔でありながらコチラで生まれた特殊な個体だ。自分で直接エネルギーを得るのがむずかしいため、最初に認識した人間をパスとしてこの世界の力を得ていた。

 本来の故郷……アチラに戻ればそんなわずらわしいことは不要だと、私は自分の拾い親を処分したわけなんだが、それは間違いだった。

 私たちのようなコチラ生まれの妖魔は、戻ったところで生粋のアチラ生まれほどの力を持つことができないのだ。私たちコチラ生まれがアチラ生まれに対抗するには、残念ながら親の力がいる……」


「でも、殺したんでしょ?」

 佐和子の問いに、


 王子は 

「他にパスとなる親をさがせばよいだけだ。それも、なるべくならわれわれとの親和性が高いコチラモノ……サカイモノと呼ばれる人間が一番良い。しかし、ホンモノのサカイモノは滅多にいない。どうやらこの街にも、今はいないようだ。

 だからしかたない。危急の時だから、きみ程度のもので手を打とうじゃないか。われわれ五体のうち、純粋な魔力はきみが育てたあの火の王子が一番強かった。あの力ならばアチラの王子たちとも互角にわたりあえたかもしれない。それは、エネルギー供給源としてのきみの力が思った以上に強かったからだ。その力があれば、私も再びアチラの王子たちとの戦いに臨むことができる。

 私に協力するのなら、特別にきみに『王の母』としての権力を与えてやってもいい。どうだね?」


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