白鯨
あらからフォレストウルフの依頼は打ち切り、マイハウスへとミラとアリューシャは帰った。
「逃げられちゃったね…………」
「ええ、まさか転移結晶なんかを持っているとは」
「ねぇアリューシャ。転移結晶ってそんなに貴重なものなの?」
「一つ金貨100枚はする代物ですよ」
「金貨100枚っていうと10000000Gか結構高いんだね」
「ええ一般人にはとても帰る代物ではありませんね」
「なんでそんなものを、あのひとは持っていたんだろうね」
「これは推測かもしれませんが、あの狂人は一人ではなく組織ぐるみで動いていて何か理由があって、この街に来たのかもしれませんね」
「何か理由があってね…………」
「ええ、ここは辺境ですから他の地域から、ここまで来るのにも苦労しますしね。」
「う~ん、なんかあるのかな…………何もなければいいんだけどなぁ」
「そうですね。あの狂人のような手練れが何人もいた場合は少しきびしいですね」
「どうにかして戦力強化をしないとなぁ」
(あの狂人と同じクラスの敵と戦うにも戦力が足りない。仙法も上手く使いこなせていないし、こちらの駒も装備も足りない…………どうしたらいいのかな)
「くまぁ(僕たちもいるよ)」
(クマさんがいるけど、武器を持った敵と戦うのは厳しいだろうな)
「う~ん、どうしたものか」
「まあ、あんまり深く考えてもしょうがないんじゃないんですか。それにフェンリルや鬼熊をテイムしているんですから戦力としては十分ですよ。それとも他の魔獣でもテイムするんですか」
「まぁ今のところ何かをテイムするつもりはないかな」
「そうですか………んっこれは……………」
突然、あたり一面が濃い霧に包まれる。空には巨大なクジラのような影が現れると同時に、強い台風のような風が吹き抜ける。
(なにこれ、クジラ………でも空を飛んでいるし…………それにとてつもない力を感じる。………勝てない…………この化け物相手には勝てる気がしない)
本能的に恐怖を感じるミラ。
(どうしたら………どうしたら逃げられる…………死にたくない、死にたくない…………どうすればいい……………)
「はぁっはっあはぁはぁ」
「伏せてください!!! このクジラ………白鯨はやり過ごすしかありません」
恐怖で混乱していたミラの手をアリューシャはつかむが、無様に二人で足をもつれさせ転倒する。転んだ時に、口の中に入った土を吐き出し、口の中の血を軽く吐き出す。
霧の中、何も見えず恐怖をより一層増長させる。
死にたくない…………死にたくない………死にたくない
頭の中を恐怖が埋め尽くし、一秒一秒が長く感じる。
どれだけ時間がたっただろうか。
「大丈夫ですか………はぁはぁ」
「うん何とか……………さっきのは何?」
「今のは白鯨です…………まさか死の森の浅い部分に現れるとは思いませんでした。あれは伝説上の魔獣です。人の手には負えない正真正銘の化け物です。」
「やっぱり、ここから移動したほうがいいのかな…………」
「いえ、ここから移動する必要はないでしょう。白鯨が現れたのはただの偶然でしょうから」
「そっか…………じゃあ昼ごはんにしようか」
お昼は昨日、オオカミさんがとってきた肉を使おう。まずはオオカミさんが取ってきた肉をぶつ切りにして、ジャガイモを細切りにする。そして肉を先に痛めてから、ジャガイモを投入する。そして、そこに塩、コショウ、オレガノ、クミンで味付けして完成だ。
「それじゃ、いただきます」
「いただきます」
「「「「「クマ(いただきます)」」」」」
「「「「「ワン(いただきます)」」」」
うん、うまいなぁ。でもさすがに、この味付けだけだと飽きるなぁ。
冒険者の仕事をこなして、早くお金を稼ごう。
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お昼ご飯を食べた後、畑づくりに勤しむ。
(うむぅ、次は何を作るべきだろうか)
まずはマイハウスの北東部の畑エリアに移動する。
「それじゃニンニクよ生えてこい。ニラを生えてこい。大豆よ生えてこい。唐辛子を生えてこい。大根よ生えてこい。大根よ生えてこい。カブよ生えてこい。」
「相変わらず、すごい能力ですね…………」
「そうかなぁ? でも、これだけ野菜を作ればいろいろとできそうだしね」
「まぁ、似た料理ばかりでは飽きますからね」
「それに大豆を作れば味噌や醤油も作れるかもしれないしね」
「みそとしょうゆですか聞いたことがないですね」
「う~ん、やっぱりこの世界には味噌や醤油はないのかな…………」




