↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/30

7:純喫茶みずの

純喫茶みずのの開店は10∶00。

朝は材料の買い出しに行ったり、作り置きするもの(珈琲ゼリーとかプリンとか)を作ったりするらしい。僕は今粛々と店内の清掃中。


喫茶店のバイトは初めてだから凄く新鮮に感じる。

知らなかったことだらけだし。

例えば、バイトすることになるまでは純喫茶やカフェの違いなんて知らなかった。純喫茶はアルコール出さない喫茶店のことを言う、だとかね。

 

飲食店営業許可をカフェは取得していて手の込んだ料理を提供できるようだけど、純喫茶は喫茶店営業許可になるそうで、簡単な加熱調理のものを提供できるみたい。

 

純喫茶みずのは、元々飲食店営業許可を取っていたそうだけど、手の込んだ料理を提供するには何やらの問題で(特に人手:彩さん談)オープンギリギリで純喫茶にしたんだそう。


そんな純喫茶みずのは主に珈琲と軽食を出すお店。

看板メニューは珈琲と珈琲ゼリー。

バリスタ(!)でもある彩さんが淹れた珈琲で作った珈琲ゼリーは珈琲の濃厚で豊かな風味で、合わせた生クリームとの組み合わせが絶妙なんだとか。これを目当てに来られるお客様が多いらしい。


一人でいるとアレコレ余計に考えて塞ぎ込んでしまうから、する事があるのはありがたい。

………気が紛れそうでよかった。

ぼんやりそんなことを考えていたら、彩さんが買い出しから戻って来た。

「只今帰りました!お帰り!」

彩さんは一人で受け答えするスタイル?


✢✢✢✢✢✢✢


「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか?」

開店した店内は珈琲の香りがフワッと漂い鼻腔をくすぐる。

ジャズが流れ、レトロな雰囲気と相まって……あ—何だろ、いい雰囲気だけでそれだけで満足感がある。


彩さんは手際良くどんどん注文を捌いている。

仕事早いな、凄い。

店は神社参りをされた方々が来店されたり、珈琲ゼリー目当ての方々が来店されたり結構忙しい。

店内はこじんまりとした広さだから何とか彩さん一人でやってこれたんだろうけど、バイトがいないと中々大変だろうと思った。 


—それから、お昼前のピーク時間が過ぎ、お客様が誰もいなくなった。また昼には忙しくなるとか。

「蒼君、今のうちに看板メニュー食べてみて」

「美味しそうって思ってました!ありがとうございます!」

 

+150円でトッピング出来るバニラアイスものった珈琲ゼリーを頂けることになった。

珈琲の豊かな香りと珈琲感がある味わいで、ゼリー自体も美味しいんだけど、アイスと生クリームがいい仕事をしていて、あっさりした甘みが絶妙。

これはリピートしちゃう味だ。 


「凄く美味しいです!」

「ありがとう、ありがとう。私は……」

「ちょっと、彩ちゃん、チビちゃんがぁ!」

いきなりバタバタ店に入ってきたのは60代位の女性。

 

「あ?桐谷のおばちゃん。チビちゃんまた逃げちゃったの?」

「そうなのよ、透ちゃんに言って、また探してもらえないかしら?」

「透に電話するね、待ってて」

彩さんはそう言うと奥の事務スペースに引っ込んで行った。


「あら、アナタ新しいバイトの方?」

「はい、望月です。よろしくお願いします」

「えっ、ちょっと月さまに似て……何でもないワ」

「あっ…………」

月さま……この方もこの世界の百貨店勤務の僕を知ってる人?意外と有名なのか?

桐谷のおばちゃんは僕の瞳を見ると一瞬目を見開き、口を噤んだ。


気が付いたのかな?……気を遣って下さったのかも。

並行世界のことを聞かれるのは今はシンドイから言わないでくれて安心したよ。

 

程なく彩さんが戻って来た。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。