5:自己紹介
衣類を買って帰ってくるともう20時だ。
夕飯にピザを頼んだタイミングで、彩さんがリビングにやって来た。
「今日もお疲れさん、私!透、頑張った私を今日も讃えなさい!」
「麗しいおねぇさま、今日も素晴らしい働きぶりでした」
そう言うと透は拍手をしだす。
何が始まったのか……
「うん、うんありがとう」
彩さんは満足そうに頷いた。
引いてる僕に気が付いたであろう透が頭をかく。
「蒼、気にしないで。ウチの毎晩のルーティンなんだ。姉ちゃん、これやるとモチベが上がるんだって」
そうなんだ……まぁ、いいと思うよ。
僕はコクコクと頷いた。
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そうこうしているうちに、ピザが届いた。
「美味しそう」
「食べよう、食べよう」
「じゃあ、食べながら改めて自己紹介しましょう。
朝話しが出来なかったからね」
じゃあ、の意味は分からないが透と僕はコクコクと頷いた。
「じゃあ、私からね。
私は水野彩、純喫茶みずののオーナーをやってます。特技は占いね。オーラが視えるの」
オーラ……?
「俺は水野透です。水野探偵事務所の所長です。
宜しくね。姉ちゃんと俺は実はいとこ同士なんだ。
俺の親が小さい時に事故で亡くなってね、姉ちゃんのお父さん、叔父さんに引き取られたんだ。
それからは姉弟として暮らしています」
へぇ、探偵かぁ。カッコいいな。
「透はね、父がやってた探偵事務所を継いだんだけど、人に対する依頼が来なくてね。
今ではペット探偵なの。私は“水野ペット探偵事務所”に改名しろって言ってるんだけどねぇ」
「そのうち依頼来るよ!」
「えぇ~、口コミに“水野ペット探偵事務所”ってしょっちゅう書いてあるじゃん。高評価なんだから、人に対する依頼は諦めなよ。
探偵のドラマとか見まくってるけどさ」
ぐぬぬといった表情の透。
「人に対する依頼のイメトレかしら?探偵ドラマを見るのは?でも、役にたってませんから、ざんねん!」
「……えっと、じゃあ、僕の紹介を。
僕は望月蒼です。元の世界では画家をしていまして」
打ちひしがれた透のフォローで話に割り込む僕。
「えぇ~、凄い!!才能のオーラが視えるもんね」
「ありがとうございます」
「打ち合わせがあるって言ってたもんね、仕事関連?」
あ、透、ちょっと復活した?
「今度画集を出すことになりまして、その打ち合わせの予定でした……」
「あぁ……」
暗い雰囲気になった。そうするつもりではなかったのだけど。
「ところで彩さん、見ず知らずの男を簡単に家に招いたらいけませんよ。僕はまともな男ですけど、
誰もがそうではないんですから」
「ふふふ、大丈夫よ。ちゃんとオーラ視るようにしてるし。因みに貴方のオーラを視たけど、それは綺麗なものだったわ」
グゥーと親指を立ててポーズを決められたけど……
「透、大丈夫なの?」
いろんな意味で。
「大丈夫だよ。マジで姉ちゃんオーラ視えるんだ。
だから喫茶店で毎日1件合間に占いしてんの」
「……オーラ……」
「あ、そっかごめん、そういや聞いたことあるわ。
別世界ってオーラが視える人とか特殊な人ってインチキな場合もあるんだってね?
この世界では偶にそういう人が生まれるのね。
因みにオーラ視える人は登録制になってて、ちゃんと調べられて登録されるからインチキの人はいないよ。
ガチの視える人なの、姉ちゃんは」
オーラ……登録制……聞いた事無い話だな……
僕の世界とこの世界との違いに驚き疲れている……
情報量が多過ぎてパンクしそうだ。
そんな僕に、
「蒼君、占いたいことがあったら1回無料サービスしてあげるからね」
彩さんと透はコクコクと笑顔で頷いてみせた。




