25:スーパーエクストラワイドニートの登場
「アァァァァ、頭痛いわぁ~」
「姉ちゃんだから言ったのにぃ。大体、飲み過ぎなんだよ!」
翌朝のリビングには頭を抱えた彩さんと、呆れ返った透が既に起きてきていた。
「インスタントですけど、シジミの味噌汁がありますよ。飲んどきますか?」
2人に声を掛ける。
「ありがと、蒼。じゃ、俺も姉ちゃんの分も頂戴」
「うぅっ、今日は臨時休業にしようかしら。
透ちゃん、後ヨロシク……。蒼君、味噌汁ありがとう。透ちゃん、味噌汁は私の部屋に持ってきとくれ〜」
ヨロヨロと彩さんは部屋に消えて行った。
「透、彩さん大丈夫なの?
変な男らの襲撃からちょっとおかしくない?」
「いや、姉ちゃんはいつもオカシイから大丈夫」
「瑞希も心配してたよ」
「あぁ、連絡きてた。……蒼は瑞希の恋愛応援してくれてるんだろ?」
「うん。一途だよね」
「うん。いいヤツなんだよ」
「うん、分かる」
「2人とも幸せになってくれたらいいなって、ずっと身近で見てたから思うんだ」
「彩さんの恋愛対象になるには何が必要なの?
瑞希はイケメンだし、高身長だし、頭もいいし、優しいし……僕が女性なら気になる存在になると思うんだけどな」
「姉ちゃんは……瑞希のことは気に入ってるよ。
だけどLOVEじゃない。俺と近すぎたんだ。
完全に見る目が“弟の親友”になっちゃったんだと思う」
リビングで話し込んでいたら、起きてきたのだろう、猫吉が……いやノワールが僕の膝に飛び乗ってきた。
その柔らかい背中を撫で撫で。
「瑞希にデートに誘えって昨日説得したんだ。
弟からみて、いいデート先ある?」
「う〜ん、難し。考えとく」
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臨時休業になったもんだからどうしようかと考える。
ノワールは僕の肩に登ってきて落ち着いたようだ。
落ちないように爪を立てて。カワイイ……。
「どぉしよっかな、ねぇ、ノワール?」
ノワールの小さな頭を撫で撫で。
取り敢えず昼食を3人分作って冷蔵庫に入れて、掃除洗濯を終わらせ昼に。
昼食をとったらいよいよ暇に。
「う〜ん、出掛けてみるか」
ノワールは肩にまた乗ってきた。このままお出掛けする。
外に出て喫茶店出入り口までやって来たら、身体の大きな男がしゃがんでいた。
体調悪いのかな?
「あの……、大丈夫ですか?」
「今日は……今日はお休みなのでごじゃりますか?」
ご、ごじゃりますか……。
「ご、ごじゃります……」
「おうっふ」
えっ……(困惑)
あ、よく見たら時々来られるお客さまだ。
彩さんのオーラ占いを受けているのを見たこともある。
「彩殿に直接今後についてご相談したかった……」
「あぁ、すみませんね、多分、明日でしたら大丈夫かと。店長によかったら伝えておきますので」
「では、名刺を一新しましたので、コチラをお渡し下され」
受け取った名刺には、
《スーパーエクストラワイドニート》
と、恐らく名前欄に書いてある。
「お、お名前は……?」
「スーパーエクストラワイドニートですじゃ」
仕事欄には、《ゲーム配信者・自宅警備》とある。
どんなゲームをされているんだろう、気になる。
ホラーゲームとか、RPGとか、はたまたジャンル問わずとか?
「あと、コチラはお菓子ですじゃ。
なんでも彩殿に不埒な輩が因縁をつけてきたとか。
ご自身のことは占いの精度が下がるから日頃やらないそうですし、いきなりで大変だったと心中お察ししますのじゃ」
「ご心配頂きありがとうございます」
「まぁ、八須賀殿が頑張っておられるなら大丈夫でしょう」
そう言うとひとり頷くスーパーエクストラワイドニートさん。……長いな、名前。
「ではでは、また伺いまする」
「すみませんでした、またのお越しを」
僕は頭をスーパーエクストラワイドニート……スーパーさんでいいか、スーパーさんに下げると、お菓子を置きに家に戻った。
リビングに入ると、透と彩さんが僕の用意した昼食をとっている。良かった、彩さん体調良くなったんだな。
「蒼君、お昼ご飯用意してくれてありがとう」
「いえいえ、顔色も良くなったみたいで……あ、さっき、この方がお店にみえて、帰られましたよ」
スーパーさんの名刺を彩さんへ渡す。
「あらっ、折角来てくれたのに悪いことしちゃったわね、臨時休業しちゃったせいで」
「お菓子も持ってこられてました」
「流石優しいわね」
彩さんニコニコである。
「スーパー……アノ方はなんのゲーム配信をされていらっしゃるんですか?」
「乙女ゲームよ。乙女ゲームを語らせたら1番の人よ」
乙女ゲーム……手を出したことのない未知のジャンルだ。
「人気も高くてね〜。金の盾持ってるそうよ、YouTubeで」
「凄いよな、ゲームの男心の読みが鋭いんだよね」
「彩さんは乙女ゲームするんですか?」
「いや、しない、しない。しないわよ」
「姉ちゃんに男心は難しいのよ」
「あぁ、それで……」
それで瑞希は……不憫。
「ちょっと、それは」
「じゃあ、瑞希が近々姉ちゃんをデートに誘うから、ガチのデートコース、今考えて!」
ちょ、透、彩さん本人に考えさせるの!?




