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25:スーパーエクストラワイドニートの登場

「アァァァァ、頭痛いわぁ~」

「姉ちゃんだから言ったのにぃ。大体、飲み過ぎなんだよ!」

翌朝のリビングには頭を抱えた彩さんと、呆れ返った透が既に起きてきていた。


「インスタントですけど、シジミの味噌汁がありますよ。飲んどきますか?」

2人に声を掛ける。

「ありがと、蒼。じゃ、俺も姉ちゃんの分も頂戴」

「うぅっ、今日は臨時休業にしようかしら。

透ちゃん、後ヨロシク……。蒼君、味噌汁ありがとう。透ちゃん、味噌汁は私の部屋に持ってきとくれ〜」

ヨロヨロと彩さんは部屋に消えて行った。


「透、彩さん大丈夫なの?

変な男らの襲撃からちょっとおかしくない?」

「いや、姉ちゃんはいつもオカシイから大丈夫」

「瑞希も心配してたよ」

「あぁ、連絡きてた。……蒼は瑞希の恋愛応援してくれてるんだろ?」

「うん。一途だよね」

「うん。いいヤツなんだよ」

「うん、分かる」

「2人とも幸せになってくれたらいいなって、ずっと身近で見てたから思うんだ」

「彩さんの恋愛対象になるには何が必要なの?

瑞希はイケメンだし、高身長だし、頭もいいし、優しいし……僕が女性なら気になる存在になると思うんだけどな」

「姉ちゃんは……瑞希のことは気に入ってるよ。

だけどLOVEじゃない。俺と近すぎたんだ。

完全に見る目が“弟の親友”になっちゃったんだと思う」


リビングで話し込んでいたら、起きてきたのだろう、猫吉が……いやノワールが僕の膝に飛び乗ってきた。 

その柔らかい背中を撫で撫で。


「瑞希にデートに誘えって昨日説得したんだ。

弟からみて、いいデート先ある?」

「う〜ん、難し。考えとく」 


✢✢✢✢✢✢✢


臨時休業になったもんだからどうしようかと考える。

ノワールは僕の肩に登ってきて落ち着いたようだ。

落ちないように爪を立てて。カワイイ……。

「どぉしよっかな、ねぇ、ノワール?」

ノワールの小さな頭を撫で撫で。

取り敢えず昼食を3人分作って冷蔵庫に入れて、掃除洗濯を終わらせ昼に。

昼食をとったらいよいよ暇に。

「う〜ん、出掛けてみるか」

ノワールは肩にまた乗ってきた。このままお出掛けする。

 

外に出て喫茶店出入り口までやって来たら、身体の大きな男がしゃがんでいた。

体調悪いのかな?

「あの……、大丈夫ですか?」

「今日は……今日はお休みなのでごじゃりますか?」

ご、ごじゃりますか……。

「ご、ごじゃります……」

「おうっふ」

えっ……(困惑)

あ、よく見たら時々来られるお客さまだ。

彩さんのオーラ占いを受けているのを見たこともある。

 

「彩殿に直接今後についてご相談したかった……」

「あぁ、すみませんね、多分、明日でしたら大丈夫かと。店長によかったら伝えておきますので」

「では、名刺を一新しましたので、コチラをお渡し下され」

受け取った名刺には、

《スーパーエクストラワイドニート》

と、恐らく名前欄に書いてある。

「お、お名前は……?」

「スーパーエクストラワイドニートですじゃ」

仕事欄には、《ゲーム配信者・自宅警備》とある。

どんなゲームをされているんだろう、気になる。

ホラーゲームとか、RPGとか、はたまたジャンル問わずとか?


「あと、コチラはお菓子ですじゃ。

なんでも彩殿に不埒な輩が因縁をつけてきたとか。

ご自身のことは占いの精度が下がるから日頃やらないそうですし、いきなりで大変だったと心中お察ししますのじゃ」

「ご心配頂きありがとうございます」

「まぁ、八須賀殿が頑張っておられるなら大丈夫でしょう」

そう言うとひとり頷くスーパーエクストラワイドニートさん。……長いな、名前。

 

「ではでは、また伺いまする」

「すみませんでした、またのお越しを」

僕は頭をスーパーエクストラワイドニート……スーパーさんでいいか、スーパーさんに下げると、お菓子を置きに家に戻った。 


リビングに入ると、透と彩さんが僕の用意した昼食をとっている。良かった、彩さん体調良くなったんだな。

「蒼君、お昼ご飯用意してくれてありがとう」

「いえいえ、顔色も良くなったみたいで……あ、さっき、この方がお店にみえて、帰られましたよ」

スーパーさんの名刺を彩さんへ渡す。

「あらっ、折角来てくれたのに悪いことしちゃったわね、臨時休業しちゃったせいで」

「お菓子も持ってこられてました」

「流石優しいわね」

彩さんニコニコである。

「スーパー……アノ方はなんのゲーム配信をされていらっしゃるんですか?」

「乙女ゲームよ。乙女ゲームを語らせたら1番の人よ」

乙女ゲーム……手を出したことのない未知のジャンルだ。

「人気も高くてね〜。金の盾持ってるそうよ、YouTubeで」

「凄いよな、ゲームの男心の読みが鋭いんだよね」


「彩さんは乙女ゲームするんですか?」

「いや、しない、しない。しないわよ」

「姉ちゃんに男心は難しいのよ」

「あぁ、それで……」

それで瑞希は……不憫。


「ちょっと、それは」

「じゃあ、瑞希が近々姉ちゃんをデートに誘うから、ガチのデートコース、今考えて!」

ちょ、透、彩さん本人に考えさせるの!?


 

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