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21:出荷されて下さい

そんなこんなでちょっと慌ただしく時間は過ぎて。

証拠も固まりつつあったので、みずの探偵事務所誹謗中傷の件はこれから色々動いていくと思う。

先ずは八須賀さんからの連絡待ち。


✢✢✢✢✢✢✢


『サイサンステキ、ステキ』

オカメインコの紅黄ちゃんが、彩さんを見つけてお喋り。

「あらぁ〜そぉ?紅黄ちゃん。正直ね!」

「姉ちゃん、紅黄ちゃんに変な言葉覚えさせないで」

「大丈夫だよ透。下ネタじゃないから」

インコを飼う?(憑かれる?)ことになったから色々調べ中。世の中には下品な言葉を使う子もいるみたいだけれど、女の子の紅黄ちゃんには覚えてほしくない。いい言葉をなるべく話すようにしなきゃ。

 

「下ネタと下品な言葉を話す時用に、防音室作った方がいいかしら?」

「姉ちゃんそんなに下ネタとか話す予定なの!?」

ちょっと引いてる透。

「だってぇ、インコとか飼ったら理想があるんだもん。ほら、“彩さん美人”とか“透、色男”とか“蒼はイケメン”とか、紅黄ちゃんがお喋りしたら嬉しいじゃない。私達は“紅黄ちゃんかわいい!”って返事してさ」

「うん、まぁ、イイかも」

「ニヤニヤしちゃいますよね」

 

「でっしょー!これがさ、(小声)クソがぁ!とか、失せろ!とか下ネタとかお喋りされた日にゃぁ……」

「かなしいです」

「凹む」

「じゃろう?防音室は検討します。そしてくれぐれも普段から綺麗な言葉を使うように!」

「了解」

「分かりました」


近くで寄り添って寝ているのはコーギーの亜紗くんとホーランドロップの蒼灰くん。

“望月=ノワール=猫吉”と改名した猫吉はというと、僕の目の前にトコトコ歩いてきてゴロンと寝転がった。

「なんだ猫吉……ノワール、撫でてほしいのかぁ?」

『ニャアン』

撫でてほしいようだ。かわいい……。早速撫で撫で。 


「はぁ、癒されるよ。事務所のことで心がささくれていたから……」

「お客さまは減ってないから有難いねぇ」

「やっぱり透の今までの実績と信頼があるからだよね」

「蒼ありがとぅ。ほんと、お客さまに感謝だよぅ」

透は癒しを求めて紅黄ちゃんや猫吉に時間が許す限り戯れていた……。


そうこうしているうちに、透は依頼先に向かう時間がやってきて出掛けた。

純喫茶みずのは定休日、彩さんはお出掛け。

僕は暫く紅黄ちゃんと猫吉と遊んでいたがそのうち彼等は寝てしまった。

他の霊は知らないが、この子達は寝るんだ。

怖い話からくるイメージだと霊って寝ないと思っていたんだけどね。不思議です。


何をしようか思案していたら、フト竹刀が目に入る。

身体が鈍るといけないし、素振りでもしようかな…。

寝ている子達の邪魔にならないように窓際に移動し素振り開始。あぁ~、身体鈍ってるわ!キツくなってきた。

ちょっと休憩、休憩。

何の気なしに窓の外を見ると彩さんが荷物を一杯に抱えて戻ってくるのが見える。

重そうだし手伝おうか、と思って気が付く。

変な男達2名が彩さんの後ろに、まるで尾行するようにいるじゃないか!

危険を感じ竹刀を持ったまま階下へ急ぐ。


✢✢✢✢✢✢✢


水野家玄関前にて。

「ねぇ、お姉さん綺麗だね。ちょっと話さない?」

「はぁ?話すわけないでしょ。じゃあね」

「おおっと、行かせないよ」

「ちょっ!誰か!助け……」

「大きい声出してんじゃねぇよ!」

外に出ると、アノ男達が彩さんの行く手を阻んでいる!

「何やってんだ!その人から離れろ!」

「蒼君!」

「あぁん?なんだテメェ?」

僕は彩さんの近くにいる男を張り倒し、彩さんをコチラへ引き寄せた。

「おい、兄ちゃん!何やっとんねん!」

男達はコチラに向かってくる。

パァァン パァァン パァァン

僕は竹刀で男達に応戦。バシバシ容赦なく叩く。

「蒼君!」

「彩さん、早く家の中に!」

「痛っ!クソが!」

「舐めてんじゃねぇぞ!」

悪態をついてくる男達。そこへ、

「お巡りさん、あそこです、ほらアイツら!」

近所の方が呼んでくれたようで警官がやってきてくれた。

逃げる間もなく、お縄になった男達はパトカーに乗せられドナドナされていった。

無事に刑務所へ入って(出荷されて)下さい!


✢✢✢✢✢✢✢ 


色々警官に事情を聞かれ、怪しいと思っている例の事務所の名前もチャッカリ伝えておいた。

抜かりなし!透と、八須賀さんにも伝えなきゃね。


一方、彩さんはさっきの事で疲れてしまった様子。

怖かったんだろうな。

おずおずと僕に声を掛ける。

「……あのぅ、蒼君って強いんだね」

「そうですかね?でも、ありがとうございます。

剣道を習ってたお陰かもしれないですね」

「剣道?蒼君は小さい頃から絵ばっかり描いてそうだけど、剣道やってたんだ?」

「小さい頃は身体が弱くて、心配した大人達に無理やりさせられていたんです。今ではやって良かったって思いますよ。彩さんを助けられて良かったです」


✢✢✢✢✢✢✢


その夜。彩は落ち着かず、布団に包まってアワアワしている。

(ちょっと、ちょっと、ちょっとぉ〜?!

あの占いって、蒼君に恋するってことなの?!)


【あの日のタロットカード占いの結果】

—近々恋に堕ちる

—片思い

—実らぬ恋


はじまる前から失恋……?

 

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