2:並行世界《パラレルワールド》
「並行世界とは、私たちの世界と並行して存在する別世界の事よ。蒼君、貴方は私達にとって別世界から来た人間なの。
別世界の人間の見た目の特徴は、透明感のある瞳。
以上。他はね、一緒なの。
貴方は、そこの神社の前に急に現れたのを、私、見てたからね。間違い無し」
グッと親指を立ててポーズを決めてくる彩さん。
説明に納得出来たような、出来ないような……
「明日打ち合わせがあるので帰りたいんですが、どう帰ればよいのでしょうか?」
「うーん、元の世界に帰れるか帰れないかは、運によるんですよ。直ぐに帰れる人もいれば、中々帰れない人もいます」
「大丈夫よ、私達が保護してあげるからウチで暮らすといいわ」
「いえ、保護して頂くまでは。僕は自宅に行きますから、」
「「それはムリ」」
彩さんと透さんがバッテン✕マークを手で作る。
……息が合った姉弟だ。
「あのね、並行世界だからこの世界にも違う生活を送る貴方がいるの。でも、貴方を必ずしも受け入れることが出来るとは限らない。
……そうね、例えば結婚していたりとか、ホームレスしていたりとか。
後は相手にとって、怖い存在に貴方がなるってこともあるかな。だから自分が受け入れてもらえると思わないことね」
「これからについては明日……いや今日か、今日の朝位にでも改めて詳しく話しをするよ。もう遅いからね。
今は眠れないかもしれないから、横になるだけでもしておいた方がいいよ。客間も空いてるしさ。そこを使ってもらえばいいから」
住居部分は2階にあった。
リビング横の和室に案内され、客人用布団を敷く。
敷いたところで透さんがテレビを付けてくれた。
「眠れない時はテレビでも見て。
いきなり並行世界って言われても戸惑うだろうし、テレビで別世界との相違を見つけてもいいと思うよ」
「何から何まで、ありがとうございます」
透さんから借りたトレーナーに着替えるとぽさっと布団の上に座った。
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眠れない……ねむれるわけない。
テレビをぼんやり見ていた。
どのチャンネルを見ても知らない番組。
……知ってる芸能人も出てはいるけど、知らない芸能人もちらほらいる。
ランダムにチャンネルを変え、あるお笑い番組を付けた時、自然に目は知らない芸能人へ向いた。
あれ?この人知ってる……交通事故で亡くなった同級生だ。
鳴かず飛ばずで、お笑い芸人になる夢を諦め、家業を継ぐことにした塚田君。27歳だった。
僕は確かに彼の葬式に行った。
なんてことだろう、お笑い芸人の夢を諦め無かった先はMCを任されるまでになっただなんて。
『塚田さぁ~ん』
ひな壇の芸人さんが彼にツッコミを入れる。
僕の世界の塚田君の年齢を超え、生きて笑っているこの世界の塚田君。
何ともいえない気持ちだ。
……信じられないけど本当に僕は並行世界に来たのか?
イヤ、信じたくない。
きっと疲れているんだ。
目が覚めたらいつもの世界に戻る筈だから。
僕は無理やり眠るべく頭から布団を被った。




