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第2部 第9章
「そろそろ戻らないと、足元が暗くなる。」
アランが時計を見た。
「もっといたいけど、帰れないのも困るわ。」
名残惜しそうにキャッシーがいった。
来る時は下りだったのでまだ楽な方だった。帰りは昇り。肘をすりむいて痛い。足首も少しひねったらしい。ギルに来る時のようなスピードがなかった。
「さすがに疲れたの?」
上がる息でキャッシーがいった。
「うん。結構キツイね。」
キャッシーは上がった息を整えるのに岩に寄りかかった。
「キツイ山道を登る時はね、山の頂上に着くことだけ考えないようにするのよ。頂上のこと、目指すゴールのことだけ考えてると、必死になっちゃう。とっても目的地が遠くて、今の道のりが辛く感じるの。でもゴールの方向だけ決めたら後は道端の草や花、遠くの景色を楽しんで歩いて行くと、とっても楽しく歩けるのよ。歩いてればちゃんとゴールに着くから。ゴールに着いた時、その道のりで見たきれいな花や景色の思い出もなかったら、つまらないでしょ?」
確かにただ突っ走っていたら、見落としてしまった大切なものがあるのかもしれない。




