第2部 第6章
「昨日の夜はオオカミたちがうるさかったけど、よく眠れた?」
車に乗り込むと既にエンジンをかけて待っていたアランがいった。
「オオカミが騒いでたの? 気付かなかった。」
いつ眠りについたのか覚えていない。
助手席のキャッシーも気づかなかったように肩をすくめた。
「遠吠えがいつも以上にすごくてね。オオカミは遠吠えでいろんな群れとコミュニケーションしてるんだ。」
またアランのオオカミ談義が始まったと隣に座るルシファはシートに深々と座り、眠る体制に入った。
「今からシャーマンに会って何を聞くの?」
「ルシファは君を不安がらせないために、この話をするのを嫌がってみたいだけど、この際だ言っておこう。」
アランの言葉にルシファはそのまま眠った振りをしている。
「この前、石の記憶を話してくれたね。ここの所の磁場のせいなのか太陽フレアのせいなのか、本当に異常気象や災害が増えてきてる。キャプテンがいろいろ分析しているけど、どうしてなのか、このまま行くと今後どうなるのかまるでわからない。」
「地球のことは地球を母と呼ぶシャーマンに聞いたほうがわかるかと思ったのよ。」
地球がお母さん?
突然、キャプテンの言葉を思い出した。
「昨日キャプテンが中間報告をアランに送るっていってたけど、見た?」
「マジかよ。昨日はいろいろあったからメール見てない。」
ルシファはわざと黙ってたのだろうと、ちらりと寝た振りをしているルシファを睨んだ。
「ルシファはご機嫌ななめのようだ。楽しい話をしよう。」
道中、ほとんどアランがしゃべっていたが、暇になったキャッシーが割り込んだりと、ずっとギルは二人の相手をしていた。話は面白いのだが、二人して全く別の話を突然するのは勘弁して欲しかった。
「ルシファ、足、邪魔!」
本気で寝ているのか、ゆったりとシートにもたれているうちにギルのシートまで進出している。
「すまないね、長くて。」
声の調子からすると眠ってはいなかったらしい。わざとらしく伸びをしながらシートに座りなおした。
「見てご覧。風景が保護施設とがらりと変わってるよ。」
二人の話に夢中になっているうちに、窓に流れる風景が全く変わっていた。
ギルは食い入るように新しい景色を見た。
キャッシーが何か話しかけようと後部席に体を向けたが、ギルの真剣な顔に思いとどまった。
今までのどこまでも続く草原から、木々が立ち並ぶ森の中を走っていた。
車内が静かになった。しばらくみんなで黙って流れる風景を見ていた。
「もうすぐだよ。」
道が舗装されていない横道にそれた。一応は車が通れるようになっているが、平面でない路面に振動が伝わってくる。車内の荷物や部品がガタガタと鳴り出した。
ギルが袖をつかんだので、ルシファは目を開けた。
「この景色、知ってるんだ・・・。」
ルシファはシートに座りなおした。ギルの話を聞こうとすると車が停まった。




