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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第1部 第84章

 家に着くと、ギルは鏡を見つめてずっと額の石を見ていた。


「そんなにいつまでも見ててあきないの?」


「だってうれしいんだ。」


 ベットにうつぶせになって鏡をじっと見つめている。


「キャッシーのいうことを聞くとするか。」


ルシファはベッドに腰掛けた。


帰りがけ、キャッシーが「あなたもちゃんと祝ってあげなさい。ギル、ちゃんともらいたいものリクエストするのよ。」といっていた。


「私からの君の誕生祝は何がいい?」


 ギルは慌てて飛び起きた。


 ルシファにも祝ってもらえるなんて。何をお願いしようかと思ったら、あのことが思い出された。でもおそらく、ルシファは嫌な顔をするだろう。しかし、それ以外、何も浮かんでこなかった。


「きっとルシファ、反対すると思うんだけど。ジーンリッチになったら絶対にやりたいことがあったんだ。」


「私が反対するようなこと? 予想もつかないね。何だい?」


 ギルは今のこの楽しくうれしい時間を壊したくなくて今は言わないほうがいいのかもしれないとも思ったが、今でなければいえなくなってしまう気もした。


「僕、母さんに、会いたい。」


 ルシファの顔が曇った。


「母さんが、僕がジーンリッチになったのを見て喜んでくれるなんて思ってないよ。きっと悪魔だ、死んでしまえってののしられるのはわかってる。」


「それなのにどうして?」


「どうしても会いたいんだ。会って心の整理がしたい。会わずにいたらいつまでもモヤモヤしたままだ。会ってすっきりして、あの過去を切り捨てたいんだ。」


 ギルの必死さにルシファは弱った。ギルが傷つくことは明白だ。でもこのまま「会いたい」という気持ちを引きずっているのもよくないのだろう。


「2,3日落ち込むくらいなら私も我慢しよう。でも1週間たっても落ち込んでたら、私は一緒にいられない。キャッシーの所へ送り込むかもね。いい?」


 ギルはうれしくてルシファの手をとった。


「ありがとう。落ち込んだとしても1日で済ませるよ。」


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