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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第1部 第82章

 叔父に会って1週間足らずで石を埋め込む手術をうけることになった。


 明日手術が行われるという晩、ルシファが小さな箱をさしだした。


「これが君の石だよ。」


 箱の中には深い青色の石が入っていた。


「そこには君のデータが入っている。私の弟としてのデータがね。」


 ギルはうれしさに石を抱きしめた。


「それがあれば一人でステーションは使えるし、街に行って私の口座から好きに買い物もできるよ。」


 石があればいろんなことができるのはうれしかったが、それ以上にルシファと家族になれることが1番の喜びだった。


「どうしてこの石は額に付けるの?」


「脳に近いからだ。だから昔、洗脳に使われたんだけどね。それと、目立つ所に付けたかったんじゃない? ジーンリッチです。私は選ばれた人種なんです。ってひけらかしたいんだろうね。」


 僕は別に石をひけらかしたいわけじゃない。ジーンリッチが優れた人種だからジーンリッチになりたいわけでもない。


「手術自体は30分もかからないで終わるけど、体に馴染むまで4時間ぐらいは麻酔で寝てることになるよ。体には負担がかかるから今日はもう寝たほうがいい。」


 手術・・・。少し不安になった。


「大丈夫だよ。大抵のジーンリッチは7歳で石を付ける。君は7歳になって保健所から通知が行ったのに、何の連絡もなくて、それで保健所が介入して保護された。」


 突然、ラボに送られたのはそういういきさつだったんだ。


「さあ、もう寝たほうがいいよ。明日は記念すべき日なんだから。」




 手術室に向かう間、どうしても体が震えてしまった。白い壁、消毒の匂い。心はとてもうれしいはずなのに、体は恐怖を感じている。


「麻酔が効けば何もわからなくなっちゃうから、それまでの辛抱だよ。」


 麻酔が効くまでずっとルシファはついていてくれた。




 ぼやけた意識の中でうっすらと光が見えた。


----ルシファだね。そこにいるんだね。----


 光に駆け寄った。


「起きた?」


 目を開けると、本当にそこにルシファがいた。


----あなたは本当に光なんだね。----


 まだ意識がはっきりしないまま体を起こした。


「見てごらん。」


 目の前に大きな鏡に自分が映ってた。黒い前髪の間から深い青色の石が見える。


「僕の石・・・。」


 そっと触れてみた。体と同化したかのように暖かさが伝わってきた。


「気分はどう? 頭、痛くない?」


「全然普通。手術っていうから、もっと痛みがあったりするのかと思ったけど、何も変わらない。」


「普通7歳で受ける手術だよ。そんなに大げさなことはないよ。」


 ベッドから降りて立ってみた。別にめまいもなにもない。


「キャッシーが君の誕生祝にケーキを作ってくれてるよ。キャッシーの所へ行こう。おそらくアランもいるけどね。」



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