表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
78/171

第1部 第78章

「僕、キャッシーに相談したいことがあったんだ。だからわざわざ来てもらったの。」


 ギルは話しにくそうに切り出した。


「俺は邪魔かな?」


「アランにも聞いてもらいたい。」


 しかし、切り出したはいいが、次の言葉がなかなか出てこない。もし2人の意見が望まぬ意見だったらどうしよう。


 なかなか話す勇気が出てこない。


「とにかく庭に出ない?」


 あの花たちが周りにいてくれれば背中を押してくれるかもしれない。


「そうね、庭の方が気持ちいいいわね。」


 キャッシーはギルの提案に賛同した。




 庭の風は気持ちよく草の匂いを運んできてくれて、心の不安が軽くなった。


「僕ね、ジーンリッチになりたいんだ。」


 両手を広げて風を受け止めた。花たちが応援するように揺れている。


「本当はナチュラルになりたかったのかい?」


 アランが静かにいった。


「わからない。僕は何になってもこの自然が好きだし、僕は僕で変わらない。」


 そうだ。というようにアランが力強く頷いた。


「ただ、思いきれないんだ。」


 広げていた両手を下ろしてうつむいた。


「そんなに慌てて決めなくてもいいんじゃない?」


 キャッシーがしゃがんでギルを覗き込んだ。


「僕が思いきれない理由はルシファなんだ。」


 キャッシーは首をかしげた。


「ルシファは僕をラボから出してくれたのは、僕がジーンリッチになれるように。だから僕がジーンリッチになったら、もうルシファとはいられないのかなって・・・。」


 ギルは泣きそうなほど小さな声でやっといった。


 しかし、キャッシーが声をあげて笑い出した。


「やだ、この子、本当にわかってないの?」


 笑い転げるキャッシーを止めるアランも笑顔だった。


 ギルは何が起きたのかまるでわからなかった。


 こんなに悩んでいるのに。自分にとっては生死をわけるほどの問題なのに。


「本気でそんなこと心配してたの?」


 キャッシーは苦しそうに笑いを抑えていった。


 ギルはわけがわからぬまま頷いた。


「そんな心配しなくて大丈夫だよ。」


 アランの大きな手が頭に乗せられた。


「どうして? だってルシファの目的が達成したら、僕がここにいる理由はないじゃない。」


「人は理由が合って一緒にいるんじゃない。一緒にいたいからいるんだよ。アイツが君を手放すとは思えないよ。」


「そうよ。ギルがこんな所嫌だって出てったら、ルシファ泣いてすがるわよ。」


 キャッシーはルシファがギルにすがりつく場面を想像しているのか、また笑い出した。


「信じていいと思うよ。じゃなきゃなんで熱で半狂乱の君と一晩一緒にいたと思う? 俺はただ一緒にいるだけだと思ったのに、君がかわいそうだって拘束具を外してボコボコにされても一緒にいたんだよ。」


「私は見たいっていうのに、『見られたくない』とかいって。アランにも止められたからボコボコにされる所見られなかったけど。」


 ルシファは僕に殴られることを覚悟の上で一緒にいてくれたの?


「どう考えたら君を手放せるんだい?」


「そうよ。安心して直接本人に聞いてみなさい。」


 キャッシーが元気付けるように肩に手をおいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ