第1部 第77章
「アランにまで会えるなんてうれしい。」
ギルは中断したヴィレッジでの生活が戻ってきたような気がした。
「もし、暇があればさっきの石の記憶を2人に話しておいて欲しい。」
ギルの笑顔が曇った。
「個人情報だが、機械で読んだデータでもないし、あの2人に話した所で誰も困らないだろう。知っておいた方がいい。」
ギルの不安そうな顔を見て優しく微笑んだ。
「話す時間があればでいいよ。」
程なく2人が来てくれた。
「かなり元気そうじゃないか。安心したよ。」
アランがほっとしたようにルシファにいった。
「筋肉痛が酷いけど元気だよ。おかげで仕事までしてる。」
「あなたが仕事するなんて、ほんと、めずらしい。」
「おかげで2人でお楽しみの所呼び出して悪かったね。これでも気を使って2人セットでお招きしたのに。」
ルシファが負けじとキャッシーに意地悪した。
「おいおい、君たちは本当に仲がいいのか悪いのかわからないよ。」
困ったようにいうアランの顔が少し赤らんでいる。ギルは3人を見ながらクスリと笑った。この人たちとずっといたい。心からそう思った。
「じゃあ、よろしく。」
キャッシーの反撃に合う前に部屋を出て行った。
「ルシファに話しておいてっていわれたことがあるんだ。」
時間があればなんていっていたけど、2人に話すことを望んでた。機を逃す前に話しておかないと。
でもこの話をするには、自分には人の心や物の記憶を読み取る力があることを説明しなくてはいけない。アランが知ったらどう思うだろうと少し躊躇したが、いつまでも隠しておく方が辛いと思い、思い切って話してみた。
「すごいな。じゃあ、動物園でオオカミがあそこにいて不幸じゃないっていうのは本当なんだ。安心したよ。」
アランの反応は意外すぎて拍子抜けをくらった。
キャッシーはアランの反応が予想できていたのかニコニコしていた。
少しほっとしたが、 石の記憶の話はやはり楽しくは話せなかった。
「本当に、地球は狂ってるの?」
ギルは不安そうに2人の反応をうかがった。
「地球が今までとは違うことは確かだ。徐々にではあったが災害や異常気象が増えてきていて、徐々にだったから誰も気にしなかった。でも今年に入ってから誰もが気になるくらいに増えてる。」
ギルは言葉を失った。
「心配するな、とはいえない所が辛いけど、今すぐ地球が分解するわけでもないし、とりあえずは大丈夫だろう。」
アランがはっきり安心させられないが、何とかギルを勇気付けようとしてるのがわかった。
「キャプテンが今いろいろ調べてるから、結果待ちよ。彼らに任せておけば大丈夫。私もいろいろ考えたけど、答えなんかでないから、今は深く考えないようにしてるの。だって不安になってもしょうがないでしょ? そんなことで今この素敵な時間を無駄にするほうがもったいないわ。」
キャッシーがいつもの明るい笑顔でいった。
「この件に関してはいろいろな所で話題にでるわ。ルシファにも話すんだけど、あの人、なぜかすごく触れたくないみたいなのよね。だからあなたを元気付けるのに私達を呼んだのかもね。」
「確かに、アイツ、この件には触れたくなさそうなんだよな。」
アランも不思議そうにいった。
「それより、今度俺が行ってる保護施設においで。半野生のオオカミを見られるよ。」
ギルは今までの不安をかき消した。この先、どうなるかなんてわからない。それより、今この人たちと楽しい生活をすることだけを考えよう。




