第1部 第60章
ヴィレッジのホテルの部屋でキャッシーたちが来る間、鷹の羽を胸に握り締めながらギルは窓から外を見ていた。
何もかもが刺激的で、何もかもが輝いて見えた。
光の世界。母さんの心を覗くことでしか見られなかった、自分は絶対に入れないと思っていた世界が目の前にある。いや、その世界に自分は今いるんだ。
「そんなに浮かれて疲れない?」
ルシファが浮かれているギルを暇そうに見つめていた。
「疲れるどころじゃないよ。ここにいるととっても元気になるよ。キャッシーが自然の野菜でみんなを元気にしたいっていうのわかる。自然といると元気になれるもん。」
「確かに、街よりは空気がいいよ。」
「ねえ、動物園には鷹はいるの? あんなに高く飛んでたから顔が見えなかった。」
ギルはまるで1枚の羽で飛べるかのように両腕を広げた。
「いるんじゃないの。」
ルシファは終始呆れモードだった。
羽を見つめて鷹の顔をいろいろ想像してみた。
「ルシファの翼はきっと真っ白なんだろうね。」
白地に先が黒い羽を見つめていった。
その時、部屋のチャイムがなった。
「キャッシーだ!」
ギルは走っていってドアを開けた。
「おはよ。よく眠れた?」
「私は寝不足だよ。」
笑顔で入ってきたキャッシーとアランにルシファが元気なくいった。
「何ふてくされてるんだよ。」
アランがルシファの肩を叩いた。
「今のギルと1晩一緒にいればわかるよ。ずっとこのハイテンションなんだよ。」
いかにも疲れたというようにため息をついた。
「じゃあ、体を動かして疲れてもらおうか? さあ、行こう。」
アランははしゃぐギルの頭を抱えていった。
「アランの腕って大きいね。」
ギルはうれしそうに見上げた。
動物園に着くとカラフルな紙を渡された。案内図を見ながらキャッシーがいった。
「何から見る?」
「鷹の顔が見たい。」
「確かにあの距離じゃ顔まで見えないよな。」
アランが同意した。
いざ、ガラスの向こうの鷹を見てギルは言葉を失った。
「どうした? 予想と大分違ってたようだね。」
アランが隣で一緒に鷹を見た。
「怖い顔してる。」
「動物はねかわいいだけじゃないんだ。本当の自然の中で生きていくためには、他の動物を殺して食べるんだ。自然はきびしい。きれいなだけじゃないんだよ。」
ライブラリでちょっとだけ見た。動物が動物を殺して食べていた。
「僕たちが野菜を殺して食べてるのと同じなんだね。」
動物が動物を殺して血まみれで食事をするのは残酷に思えるのに、自分達が野菜を食べることには残酷だと思わない。同じことなのに。
「かわいいのもいっぱいいるわよ。」
キャッシーが反論するようにいった。
「私はキリンが見たい。」
「キャッシー、君の遠足になっちゃうよ。」
アランがとがめるようにいったが
「僕も見たい。」
ギルがすぐに彼女の提案に乗った。
「君たちは気が会うね。」
ため息混じりにルシファがいった。




