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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第1部 第58章

 さっき部屋から見ていただけの世界に出た。風や木漏れ日を直接感じた。


「気持ちいい所だね。」


「随分気に入ったみたいね。」


 キャッシーがいった。


「うん。とっても楽しい。」


「まったく、相当気に入ったらしい。ずっとこの調子なんだ。」


 ルシファがあきれていった。


「こんなに喜んでもらえるなんて、こっちもうれしくなるよ。ギル、何が見たい?」


 アランまでうれしそうにいった。


「何でも見たい! 案内して。」


「じゃあ今日はハイキングにしようか。」


 キャッシーが提案した。




 アランの運転する車に乗っている間も、ギルはいろいろな物に目を奪われた。


「そんなにいろいろ見てたら酔うよ。」


 ルシファは完全に呆れていた。


「君は本当にいろんなことを知りたいんだね。」


 アランは感心した。


「うん。特にこの自然がいっぱいのきれいな世界がとっても知りたい。」


「じゃあ、これから行く所はぴったりだよ。」




 車を空き地に停めると周りは沢山の木が生えていた。


「ここは木の国?」


「そうね。でも木だけじゃないわよ。動物も花もみんないるわよ。」


 キャッシーが笑っていった。


「ギル。足元に石が道なりに敷いてあるのがわかるかい? ここでは人間はお客様だ。森の生き物達にできるだけ迷惑かけないように、石の上だけを歩くんだよ。」


 ギルは大きな石をスキップでもするかのように飛んで歩いた。


 大きな木も小さい木もいろんな木があり、その木を囲むようにいろんな形の草が生えている。鬱蒼と茂った葉の間から木漏れ日が差し込んだり、小さな木が多い所は明るく、草たちが揺れている。


 突然大きな音がしたのでビクリと足を止めた。


「鷹だよ。上を見てご覧。」


 見上げると大きな鳥がその大きな翼を誇るかのように広げて空に浮いていた。


「大きい・・・。」


「丁度いい。」


 ルシファが何かを拾ってギルに差し出した。


「これが鷹の羽だよ。」


「これが・・・?。」


 渡された羽は白く先が黒かった。とても軽いのにしっかりとしていて、大空の風をしっかりと受け止めているのを感じた。

 

これがあれば空を飛べるんだ・・・。


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