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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第1部 第56章

 ヴィレッジでの準備が出来、キャッシーの休みも決まった。


 滞在は7日の予定。


「でも、君の体調をみながら、無理せず帰ってくるよ。」


「わかってるよ。」


 ギルは本当にわかってるのか不安になるほど、ヴィレッジに行ける喜びしか感じていない様子だった。


 今は何をいってもどうせ頭に入らないだろうとあきらめて、ステーションに入った。


「キャッシーはもう着いてるかな?」


「まだだと思うよ。」


 あきれたように適当にいった。


「早く行こう。」


 ギルを黙らせるにはもうヴィレッジに行くしかなさそうなので、まだ早いが行くことにした。




 ヴィレッジのステーションはまるで森の中のようだった。


 広々としたフロアには沢山の木が生え、壁やテーブルは木で作られていた。今にも鳥が飛んできそうなほど緑が多く、広かった。


「突然おとなしくなったね。手続きをしてくるから、ここに座って待ってて。」


 いわれるがままに大きな木の前にある椅子に座った。


 圧巻されて言葉が出なかった。


 まるで空気自体が光ってるように、全てのものが生命溢れて息づいているようだった。切り倒されテーブルや椅子になった木ですら生きてるように。


「やっぱりまだ早すぎたよ。キャプテンはしばらくこられない。部屋で待っていよう。」


 ルシファの後について歩き出したが、明るい光を浴びている木々の葉に目が行く。


「ちゃんと、前見て歩いて。」


 部屋に入ると大きな窓に駆け寄って外を見た。


「きれいだね。」


 広々とした庭には沢山の植え込みがされ、色とりどりの花が咲いていた。


 遠くに見える池は日の光を反射している。


「随分気に入ったんだね。」


「最高だよ。こんなきれいな世界。」


 見るもの全てが美しかった。木漏れ日が転々と道に光を描き、木の葉は風で歌っているかのように揺れている。その枝に鳥が止まって羽の手入れをしている。


 夢心地でずっと見ていた。


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