表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
49/171

第1部 第49章

「キャッシーいらっしゃい。」


 両手を広げて、細い体をふんわりしたシンプルな服をまとった年配の女性が近寄ってきた。ギルは反射的に1歩下がった。


「ドロシー。今日もきちゃったわ。」


 2人は親しげに握手した。


「こんにちは。私のお店にようこそ。」


 ドロシーはゆっくりギルに手を差し出した。


 キャッシーが励ますように肩に手を置いた。


 ギルは促されるままに手を出して握手した。


「こんにちは。」


 暖かい手のぬくもりを感じた。


「最近キャッシーが男の子の服を選ぶから気になってたのよ。こんな美形な子だったなんて。」


 ドロシーは微笑んだ。ギルは顔を赤らめて視線をそらした。


「全くね、この子もルシファも自分がどれほど魅力的かわかってないのよ。やんなっちゃうわ。」


 ドロシーは笑った。


「あなたの知り合いはそんな人ばかりなのね。あなたのセンスで磨いてあげなさい。」


 ドロシーは手を振ってカウンターの奥に消えた。


キャッシーがギルの顔を覗き込んだ。


「怖いことないでしょ?」


「怖くはないけど、別な意味で心臓に悪いよ。」


 赤い顔のまま必死に顔を背けた。


「あなたは本当にいろ~んなことに慣れていかなきゃいけないわね。」


 そういいながら何着か服を手に取ると体に合わせてみた。


「こっちの方が似合うわ。」


 キャッシーはいろんな服を手にとって広げ、よくよく眺めては、次の服を手に取った。


 ルシファが逃げる理由がよくわかった。


 暇になったギルはあたりを見回した。


 目に留まったのはマネキンが着ているTシャツだった。


 ベージュの生地のシャツの真ん中にこげ茶色のウサギがタンポポの花をくわえて立っている。


「かわいいわね。」


 じっと見つめるギルに気づいてキャッシーは、マネキンの横に並んで立った。


「どう? 私が着たら似合う?」


 ギルはマネキンとキャッシーを交互に見比べた。


「キャッシーの髪の色とウサギの色、合うと思う。」


「じゃあ、これ買っちゃおう。」


 キャッシーはドロシーに同じTシャツがあるかどうか聞きに行った。


 ギルはマネキンのウサギを見つめた。


----キャッシーと一緒にいられるなんて、君はハッピーになれるよ。----


 心の中でウサギに話していると、ルシファが肩に手をおいた。


「服選びは終わった?」


 ルシファの顔を見たら自然と笑顔になった。


「ギルがね、そのウサギのTシャツ似合うっていうから今ドロシーに在庫みてもらってるの。もうちょっと待ってて。」


「ほう。君がキャッシーの服を選んだのかい?」


「選んだってわけじゃないけど、このウサギ、キャッシーといたら幸せかなって・・・。」


「君はキャッシーよりウサギのためかい?」


 ルシファは笑った。


「キャッシーにだってちゃんと似合うと思ってるよ!」


 視線を感じてカウンターを見ると、キャッシーとドロシーが面白そうにこっちを見ていた。


「本当に絵になる二人ね。」


「な~に? あそこに私が入ったら絵が壊れる?」


 キャッシーは横目でドロシーをにらんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ