第1部 第40章
朝日が昇った。
辺りは光に包まれてまぶしくて目を細めた。
太陽から目をそらして足元の花を見た。朝露がキラキラと虹色に輝いてる。
「まだ太陽は見られないけど、大丈夫。ちゃんと目を開けていられるよ。」
花に話しかけるように手を差し伸べていたルシファが笑った。
「太陽見るまでできなくていいよ。私だって太陽は見ていられないよ。」
朝日を受けて花に囲まれて立っているルシファをちゃんと見られた。
光の世界にちゃんと入れた気がした。自分とは全く違う、入ることの許されないと思っていた光の世界。
「ルシファ。ありがとう。」
光の天使が満足そうに微笑んだ。
キッチンに戻ってお茶を入れてみた。キャッシーに教わった分量を入れてみる。
ティポットを蒸らしている間、テーブルに置かれたカモミールの花瓶の水を替えた。いい香りを吸うとテーブルに戻し、横に置かれた木彫りの鳥の頭を突付いた。
「君もいい香りがわかるかい?」
開いた嘴がカモミールに何か話しかけてるように見えた。
「キャッシーから帽子が届いてるのはいいんだが・・・。」
大きなダンボールを抱えてルシファが入ってきた。
「何?これ?」
「嫌な予感がするよ。開けてご覧。」
まさかこんなに服を送ってくるはずないだろうし、ルシファがすごく重そうに持ってた。
予想がつかないまま中を開けた。
「ズッキーニだ。」
中から出てきたのはキッシュの材料だった。
「『忘れる前に復習しておくように』だそうだ。」
中から出てきたメモ用紙を読みながら額に手を当てた。
「作るしかないよね・・・。」
次々に出てくる野菜を見つめて観念するしかなかった。
結局、「復習」はほぼギルがしただけだった。
ルシファはズッキーニを1本切ったくらい。
2人分のキッシュはこの前のように時間はかからなかった。
ちょっと焦がしてしまったが、ちゃんと作れるようにはなったらしい。
「キャッシーはあんなに沢山いつも作ってるの?」
「いつもじゃないけど、結構作るよ。アニバーサリー・ヴィレッジに行く時にはさすがに作れないけどね。」
「アニバーサリー・ヴィレッジ?」
「ジーンリッチとナチュラルが共同で過ごす場所だ。キャッシーの料理の知識はそこで学んだ。」
ジーンリッチとナチュラルが一緒に?
「行ってみたいだろ?」
ギルは目を輝かせて何度も頷いた。
「どんな所なの? ね、何でもいいからそこのこと教えて。」
「詳しい話はキャッシーが何時間でも話してくれるだろうから、簡単にだけ説明しておくよ。」




