第1部 第25章
朝日が昇る前の庭に出るのは最高に気分がよかった。
あの青い花を見つけると話しかけた。
「君も僕もルシファに会えてよかったね。」
この庭にいるととても気分がよかったが、今朝は段違いに気分がよかった。
何だかすごく軽くなったような感じがした。今までまとわりついていた重たい何かが消えたようだった。
「キャッシーからキッシュが届いてるよ。」
風を感じて、草の匂いを吸い込んでいると、ルシファの声がした。
「キッシュ?」
ギルは聞いた事のない言葉にどんなものか想像もつかなかった。
「これがキッシュなの?」
皿に乗っている色とりどりの野菜が黄色い生地の中にゴロゴロしていた。
「キャッシーのお気に入りの料理だ。」
口に入れるとケーキの甘さとは違うほんのりした甘さを感じた。
「悪いが、急に仕事が入ってしまってね。」
困ったようにルシファがいった。
「仕事?」
「そう頻繁にくるものじゃないんで安心してたんだけど。1度仕事が入ると結構な時間部屋にこもることになる。」
「別にいいけど。面白い本を貸してくれれば。・・・それより、仕事って、ルシファ何してるの?」
キッシュを眺めていたルシファが顔をあげた。
「そういえば、いってなかったね。」
そんな暇ないくらい自分のことばかり気にしてくれていたことに少し申し訳ない気分になった。
「来てご覧。私の仕事部屋を案内するよ。」




