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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第1部 第21章

ギルは「ルシファ」の出てくる神話を読みたいといった。


「君に石があればライブラリで見られんだが・・・。」


 困ったようにしばらく悩んだが、部屋を出て行った。


----ジーンリッチになって石があれば、いろんなことができるのにな・・・----


 ルシファは自分にジーンリッチになってもらいたがっているようだが、今はジーンリッチになったらどうなるのかさえわからない。


 部屋に戻ったルシファが1冊の本を差し出した。


「文字は読める? 挿絵があるからそれだけでもいい?」


 本を手に取るとギルはじっと見つめた。


「文字は読めないけど、本は読み取れるよ。ありがとう。」


 早速本を胸の上に置いてベッドに横になって目を閉じた。


「変わった本の読み方だ。枕にするより斬新だよ。」


 あきれたように両手を挙げた。


「夕方、日が翳ったら庭に出ていい? それまでルシファは好きなことしてて。僕は本を読んでるよ。」


 目を閉じたままいった。




神に創られた人間が楽園を追われる話。


神に次ぐほどの光の天使ルシフェルは神が人間の世界を創ったとき、神に反乱を起こした。神側の天使と反乱軍との壮絶な戦い。


山をつかんで投げたりとまさしく壮絶。天使というのはどんな大巨人なんだと思う。


ミカエル、ラジエル、「エル」がつく名前は天使の印。


結局、反乱軍は負けて地獄に落とされ、ルシフェルはルシファとなる。


復讐のために地獄から抜け出したルシファは蛇になって人間に禁断の木の実を渡す。そのせいで人間はいろいろな知恵を身につけ神の創った楽園を追われる。


面白くないお話だった。




ノックの音で目が覚めた。


また眠ってしまったらしい。もっと体力をつけないといけないなと思った。


「本は面白かったかい?」


 湯気の上がるカップを持ってルシファが現れた。


「すごいムカつく。この物語。」


「君が読みたいっていったんじゃないか。」


「だってことごとくルシファが悪役なんだもの。」


 カップを受け取った。


「だからいっただろ、ルシファは悪魔なんだって。」


「僕はね、1番悪いのは人間だと思うよ。」


 ルシファは首をかしげて湯気の上がるカップを両手で持った。


「だってせっかくルシファが智恵の実をくれたのに、どうしてそれをうまく使わないの? 使いこなせてない人間が悪いんじゃないか。」


 ルシファは笑い出した。


「本当に君は斬新だ。そんなこといった人は今まで会ったことがない。」


「変?」


「私以上に変かもね。」


 変といわれてムッとしたが、ルシファが楽しそうなので、そのまま流すことにした。




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