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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第1部 第1章


 頭がしびれてる。もう、このベッドに縛られてからどれくらいの時間がたつんだろう?

 

前回、ベットをギャッジアップして頭から血を下ろしたのはいつだっただろう?

 

自動で突然ベットが動くから好きじゃないが、もうそろそろ頭を上げないと息も苦しくなってくる。だからといって誰かに訴える術は何もなかった。


---誰か、来る。---

 

彼は聞き耳を立てた。足音が近づいてくる。


---お願いだ、お願いだから行き過ぎて。この部屋には来ないで!---

 

恐怖で彼の顔がこわばった。

 

どんどん足音が近づいてくる。1人じゃない、2人の足音。

 

そして彼の願いは叶えられず、重たいドアが開き、廊下の照明の明かりが部屋に差し込んだ。

 

彼は恐怖に耐え切れずに叫び出した。しかし、口には太いロープがくわえられていて声がうまく出ない。逃げ出したくても体はベッドに拘束されていて動けない。それでも耐えられない恐怖にのっとられた体は必死にもがいた。


「静かにしろ、この化け物」

 

1人の人が足音も荒々しく近寄ってきた。


「やめるんだ。」


 聞いたことない声。


「悪いが、彼と2人っきりにして欲しい。」


 いつものように殴られることはなかった。


いつも殴るあいつはまた足音も荒々しく部屋を出ると、重たいドアを力いっぱいに閉めた。

重い金属音が部屋中を木霊して、タダでさえクラクラする頭に反響した。


「君のその拘束具を外したいんだけど、近寄ってもいい?」


 あいつが部屋の外に出て行った安心感で気付かなかった。もう1人いたんだ。


 彼の体がこわばった。


「心配しないで。私は君を傷付けたりする気はない。心を読んでもらえればわかるだろ?」


 聞いたことのない声と聞いたこともないセリフをいう目の前の人は、燃えさかる炎のような明るいオレンジ色がかった金髪。

色白のほっそりした顔立ちに、額には髪の色と同じ炎のようなオレンジ色の石があった。


「私はルシファ。ただ、拘束具を外すだけだけど、怖かったらいって。」


 その人はまず口にあるロープを外した。彼は思いっきり息を吸い込んだ。


「さあ、これでしゃべれる。嫌ならちゃんといって。」


 彼の返事を待つようにしばらく見つめたまま立っていたが、彼がぐったりとしたままなので、まずは足首にぐるぐる巻きにされているロープをほどいた。


「血が流れ出したらしびれてくるだろうけど心配しないで大丈夫だよ。」


 その人の言うように、うっ血して感覚が鈍っていた足に激しい痺れが広がった。


 痺れはほぼ痛みに変わって、歯を食いしばって耐えてるうちに意識が薄れていった。


 


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