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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第2部 第67章

 このままキャッシーの思い出にふけっていたら、いつまでも涙がとまらない。


そんなことより、心の中のキャッシーと一緒に沢山のきれいなものを見て、楽しいことをした方がいいと思った。


動物たちに会いに行くと、1番初めにウサギに会いに行った。


「君と同じだ。僕も大切な友人を亡くしてしまったんだ。」


 グレーのウサギを撫でた。


「でも君にも僕にも仲間がいるよ。寂しくないよね。」


 グレーのウサギは、ゆっくり草を食べ始めた。




 馬の所に行くと、あのやんちゃな馬が待ってたかのように寄ってきた。


「元気だった? 僕のことからかえなくてつまらなかった?」


 馬はうれしくてしょうがないように何度も首を擦り付けてきた。


 ギルはうれしくて、その首に抱きついた。


「君に名前をつけてあげる。リロって呼んでいいかい?」


 動物たちといると少しずつ心が癒されていく。


キャッシーの悲しい思い出が、徐々に美しい思い出に変わっていった。




いつものように馬の怪我のチェックを終えたので、リロと遊ぼうと思った。リロは顔がかゆいらしく、ギルの胸に押し付けて顔をこすりつけてきた。その大きな顔の力は強く、その場に立っていられないほどの力で押してくる。耐え切れずに地面に倒れても、まだ顔をおしつけてくる。


やっとの思いでリロのじゃれつきから逃れると、少し離れた所にある岩に腰をおろし、しみじみと馬たちを見た。


こんなに大きな体。しかもあんなに力があるのに、どうして馬は人間なんかといるんだろう? 嫌なら十分に人間を攻撃する力も、早く走る脚も持ってるのに。


「こうして君たちが一緒にいてくれるのって、すごいことなんだよね。」


リロが鼻面で肩を押すので、わざと無視すると、癇癪を起こしたのか、もっと力を入れて押してきたので、ふらついたが、転ばされることはなかった。


勝ち誇ったようにリロをみると、今度はその怪力で顔を摺り寄せてきた。


 むちゃくちゃに大きな顔を擦り付けられると、胸どころか、頭でも足でもなんでもずりずりとこすられる。


「ちょっと、手加減してよ・・・。」


 ギルは何とかリロを抑えようとしても、その力に振り回されて、止められない。


 何とか逃げ出して、柵をくぐって外へ出た。


「ね? 遊ばれてるでしょ?」


 ルシファの声に振り向くと、柵に寄りかかってこちらを見ていた。その隣にはアランがいた。


「アラン!」


「久しぶりだね。元気だった? ・・・みたいだね。」


 アランはクスクス笑っていった。


 アランは少しやつれたみたいだったが、顔は生き生きしている。その胸にキャッシーのペンダントが光っていた。


「キャッシー、喜んでる!」


「キャッシーの最期、ルシファから聞いたよ。教えてくれてありがとう。彼女が苦しんだり、さびしい思いをしてなくてよかった。なかなかお礼がいえなくて、すまん。」


 何も言えなくて首を振った。


「俺、船の搭乗員に募集しようと思うんだ。」


「乗るの!?」


 ギルは驚いてアランを見上げた。


「乗るも地獄、残るも地獄。本当はキャッシーと残る予定だったけど。」


 胸のペンダントを握りしめた。


「今は、新しい地球に、キャッシーを連れていってあげたい。ジーンリッチもナチュラルもない世界。キャッシーの夢見た世界を創りたい。」


 だからこんなに生き生きしてるんだ。


「もちろん、簡単にできるとは思わないさ。俺が生きてるうちに地球に降り立てるかどうかもわからない。でも、何もしないでいたら、向こうへ行った時にキャッシーに合わせる顔がないからな。」









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