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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第2部 第64章

 ウサギに会いたくて行ってみると、あの白いウサギがいなかった。


「今朝、亡くなったの。」


 獣医師はギルの悲しそうな顔を見て優しくいった。


「もともともう歳だったし、あのままケージの中で亡くなってもおかしくなかったのよ。最後にみんなの所に帰れたんだから、最高によかったのよ。」




 もう1度ウサギのところへ行くと、グレーのウサギが一人ぼっちで草も食べずにいた。


「君、お友達がいなくなっちゃったんだね。寂しいよね。」


 ギルはかわいそうで、その小さな体を優しく撫でた。


----同じ----


 誰かの声じゃない。自分がなぜかそう呟いていた。


 何が同じなんだろう? いくら考えても全くわからなかった。




 ホテルのゴミの回収がやっと終わったので、少し座りたくてラウンジに行った。

 画面ではまた新たに起きた大地震で倒壊したビルが映っている。


 心が重くなって、ラウンジを出ようとすると、丁度ルシファが入ってくるところだった。


 その顔が青白く、血の気が引いていた。


「キャッシーが、その街にいたんだ。今、アランが行ってる。私たちも行こう。」


 キャッシーが、この街に? 振り向いて見えた画面にはただの瓦礫の山しか映っていなかった。




 病院に着くと、どうしてこんなに静かなフロアなのかわからなかった。


 通された部屋は薄暗く、アランが座っているのがようやくわかった。


 ギルは震えながらアランの隣に立った。


 ベッドに誰かが横たわっている。顔になぜ白い布をかけているの?


「内臓が全部つぶされて、蘇生不可だそうだ。顔はきれいなままだから、見てあげて。」


 アランがかすれた声でいった。


 ルシファが白い布をよけた。血の気がまったくないのに、どこか微笑んでいるような顔だった。


 ギルは混乱していた。だって昨日お話したんだ。あんなに元気だったんだよ。船が出たらアランと二人で暮らすんだって、前夜祭があるだろうから服を送るって。


 ありえないよ、こんなこと。


 そっと頬に触れてみた。冷たい。目を開けてもくれない。


 あの元気にくるくる動いて、大きなきれいな目がもう見られないの?


 ふと、そのきれいな目の代わりをするように額の石が輝いた。


 ギルはその石に左手を乗せて、右手で隣に立つルシファの手を取った。

 


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