第2部 第61章
自家発電の話でヴィレッジは一気に活力を取り戻した。
無理かもしれない。もう見切りをつけた方がいいのかもしれない。でも今更手を引けない。そんな想いだったヴィレッジの人たちが可能性を見出したようだった。
ギルは確かめたいことがあってクリスタルのライブラリをもう1度見た。
「やっぱりそうだ。」
アランからもらったシャーマンのライブラリにトーテムアニマルが載っていた。
ウサギは「人や縁をもたらす動物」となっていた。
「あの子だ。きっとあの子のおかげなんだ。」
ギルはすぐにウサギに会いにいった。
「君たちが何かしてくれたんだろ? ありがとう。」
2羽のウサギは仲良く並んで草を食べていた。1羽ずつそっと撫でながらお礼をいった。
ラウンジに人が集まっているようなので、覗いてみると、みんな画面を見つめていた。
「どうしたんですか?」
また災害のニュースなのだろう。入り口近くの人に聞いてみた。
「月にある観測所に避難所の増設をするっていうのは知ってる?」
「はい。」
「おそらく、太陽フレアの影響だろう。電気系統が3時間止まって、そこにいたジーンリッチが全員亡くなったらしい。」
たった3時間で?
空気のない月でのことなので、この地上と比較はできないのだろうが、たった3時間でみんな死んでしまったなんて。
「1番安全な場所だと思っていたのに。」
「月に行くまでの設備があってそんな状態じゃ・・・。」
国を挙げてのプロジェクトが失敗した。何年もかけて計画されてきた月での生活すらできない状況だと思うと、自分たちが避難できる所なんかどうしたら作れるんだ?
この事故は更に人々を不安にさせた。
「お父さんの船は大丈夫なの?」
月の電気が影響を受けたということは、宇宙船も被害を受けているかもしれない。
せっかく電気が使えても、壊れてしまっては意味がない。
「それについては1番心配ないよ。あの人は宇宙の何もないように見える空間をよく熟知してる。私には何もない闇の空間にしか見えなかったけど、海の中と同じだといっていた。目に見えない空間のうねり、宇宙光線、宇宙の放射能は、磁場や大気によって守られた地球とは比べものにならないほどダイレクトに影響を受ける。あの船はそれに耐えられるように設計されてる。父のデータを基に計画を立てられるヴィレッジはラッキーだよ。」
ルシファはできるだけ簡単に教えてくれた。
ルシファはその時のことを少し思い出した。
その時、父はモニターの地球を見つめながらつぶやいた。
「地球は生命を育む母だ。宇宙という荒れ狂う海の中で、大気や磁気で自分の子供たちを優しく守っている。」
父は心から地球をいとおしんでいた。




