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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第2部 第57章

「私が入ったらお邪魔かな?」


「ルシファ!」


 部屋の入り口で入るのをためらうようにルシファが立っていた。ギルはうれしくなって走り寄った。


「家に行ったら君がまだ戻ってないから、時間潰しにきたんだ。」


「丁度、キッシュを焼いたんだ。ルシファも食べて。」


 ギルはキッチンに走った。


「愛しい新妻の出迎えのようじゃないか。」


 キャプテンが茶化した。


「料理もうまいですよ。なにせキャッシー直伝ですから。」


 ルシファはキャプテンの隣の椅子に座った。


「どうしても、いろんな設備を整えるにも、電気の確保が1番の問題ですよ。」


 ため息混じりにルシファはいった。


 キッシュとお茶をルシファの前に出すと、ルシファが微笑んだ。


「ありがと。君の方はどうだい? 今日の収穫はあったのかい?」


 話題を変えるようにいった。今のこの重い雰囲気を払拭したいらしい。


「いつも通りだよ。でも今日は病気で一人ぼっちのウサギがいたから、生の草を取ってきてあげたんだ。ペレットじゃ食べなかったんだけど、生の草なら食べてくれた。」


「君らしいよ。」


 ルシファは微笑んでお茶を飲んだ。


「君たち二人を見ていると、こちらが癒されるよ。」


キャプテンがリラックスしたように椅子にもたれた。


「昼間のルシファはそりゃすごい顔してるんだよ。眉間に皺をよせて厳つい顔でデータを作ってる。声もかけられないほど怖い顔でね。」


「そうなの?」


「それが、君に会った途端にこの笑顔だ。本当に君たちはいいコンビだ。」


 キャプテンが笑った。力強くはないが、本当に満足しているようだった。


「すごい顔にもなりますよ。なにせ、建物1つの中に地球の生態系をできるだけ再現させるわけですから。」


「地球の生態系?」


「人間はこの地球の環境で生きてきた。呼吸に必要な空気は木や草が作ってくれてる。その植物を作ってるのは大地と水。その大地を作っているのは死骸から作られた土。その土を作っているのは微生物。その微生物を養っているのは温度湿度・・・。」


「ちょっと待って、そんなこと、建物の中でできるの?」


「無理に決まってるじゃない。」


 ルシファは即答した。


「でもやるしかないんだよ。」


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