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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第2部 第47章

 ギルはどうすることもできないまま、重い気持ちを抱えてヴィレッジをふらつくしかなかった。


 そして、あんなに素敵な場所だったヴィレッジにいるのに、「悪魔」という感情が叩きつけられてきた。憎悪をむき出しにした感情がぶつけられた。


 ヴィレッジの計画をちゃんと理解し、それでもヴィレッジに残り計画を手助けしようとしている人たちも、憎悪はないが、腫れ物でも扱うように、ギルから距離を取っていた。全てが敵になったような気分だった。


 1番いたたまれなかったのは、ルシファに対する非難の感情だった。


 ルシファのせいでジーンリッチは見捨てられる。


 ルシファのせいでこのヴィレッジのジーンリッチとナチュラルの分け隔てない世界が壊れた。


 ルシファが全てを壊した。


 どこへ行ってもそんな感情であふれていた。


 現実を認めたくなくて、受け容れられなくて、誰かを悪者にしないと自分を支えられない人たち。


 その人たちの、憎悪、絶望が全て「悪魔」としてルシファに向けられている。


 そのむき出しの感情は、人の心が読めるギルでなくても充分に感じ取れるだろう。


 こんな状況の中、それでも計画を遂行しようとしているルシファはどれだけ辛いだろう。


キャプテンに言わせたくなくて、自分が全部引き受けるほど強い優しさを持っていても、グロテスクな肉の塊にすら兄弟と呼んで罪悪感を感じるほどの人が、父の船を降りたことをあんなに後悔するほどの人が。耐えられるわけない。



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