第2部 第35章
「わかりました。その前にあのデータで確認したいことがあるので2時間でいい。時間をください。それと、あなたの今の考えをお伺いしたい。」
父と話していたときのような強い口調で言った。
「アレックスが船の話をしたときから、いずれは来るであろうこの時のために私がしてきたことは、ヴィレッジのいくつかの建物を洪水が起きたときのために、水に浮く構造にしたくらいだ。ここは山の噴火よりも海岸のほうが近い。洪水の危険性のほうが遥かに高い。」
大洪水を生き延びた箱舟? ギルはあの本を思い出した。
「その他のことはアレックスのデータを検討してこれから決める。」
ルシファは立ちあがった。
「データを見せていただきます。」
スリープしている画面を起こした。
キャプテンはギルを連れて部屋を出た。
「ルシファが考えをまとめる間、暇だろう。私と少し話をしないかい?」
キャプテンはギルに祖父のような優しい声をかけた。
「キャプテン、忙しいんじゃないんですか? 僕は一人でも大丈夫です。」
気を使ってくれてるのだろうか、この緊急事態に子供と話している暇などないはずだ。
「ルシファがみんなに話すまで、動きがとれないよ。」
外へ出ると周りの景色を眺めながらゆっくり歩いた。
「お父さんと会ったんだね。」
聞こえなかったことにしてもいいんだよ、といってるように小さな声でキャプテンは呟いた。
ギルは頷いた。
「私はルシファを更に苦しめているんだろうね。」
キャプテンはどれだけのことを知っているのだろう?
父と仲がよかったわけでないことは知っているようだったが、ルシファの事を、自分が話したくはなかった。
「君たちは本当に光と闇だ。」
歩きながらキャプテンがいった。
「闇は決して悪いものじゃない。昼があって夜があってバランスがとれる。昼間必死に動いて、夜の闇の中しっかりと休んで癒される。闇の中で休まなければ、燃え尽きてしまう。」
丁度、木陰にベンチがあったので、キャプテンは座った。
「これからいろいろなことが起こるだろう。立ち止まっている暇がないほどに。振り回されて動いているうちに疲れきってしまう。君がルシファの闇になってあげなさい。」




