第2部 第33章
ルシファがいろいろ試して駄目だったなら、何があるんだろう?
ふと窓の外を見ると、鷹だろうか、大きな鳥が羽を広げて飛んでいた。
「祈り。」
ギルがつぶやいた。
その言葉を打ち込むと、ファイルが一つ開かれた。
ファイルの名前は「ギルバート」
「どうして君の名前が・・・。」
しかし、ファイルはまだ開けずにパスワードを求めている。
「じゃあ、今度は『ルシファ』。」
ファイルが開かれ、画面に映ったのは、2つのガラスケースだった。
拡大してみる。
側面のプレートには「ルシファ」と「ギルバート」の刻印がされていた。
金属の冷たい壁にはまるで草原のような沢山の花が描かれている。
「この風景・・・。家の、家の庭だよ。」
ギルは目を輝かせてその壁の花を見た。
「お父さんは、僕たちが寂しくないように・・・。ファイルの『ギルバート』は僕の名前じゃない。『輝く願い』。お父さんの願いなんだ。」
お前のように何もない宇宙空間を寂しがることもない・・・。ルシファがどれだけ生命のない宇宙が嫌いだったか知っていたのだ。
おそらく船に乗ることを拒否することもわかっていたはずだ。それでもわずかな望みをかけてこの部屋を作ったのだろう。みすみす殺してしまうことを避けたくて。乗らないことはわかっていても、それでも何もせずにはいられずに・・・。
「あの人にはかなわない。」
ルシファは本当に父には何の考えも追いつけないと思った。何もかもわかっていて・・・。
ふと、もしかしたら、自分が船でやっていたことも全てを見通したうえでのことだとしたら?
「遅くないのかもしれない。」
ルシファはまだ頭の中の整理がつかないまま呟いた。




